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【映画感想】『レザーフェイス 悪魔のいけにえ』想像とは違う趣き(ネタバレあり)

(2017年 アメリカ 監督:ジュリアン・モーリー / アレクサンドル・バスティロ)

ネタバレあり。

映画の構造上仕方ないので、気になる人は画面を閉じて観に行ってください。

 ホラー映画の続編を観るということ

名作ホラー映画の続編/リブート/シリーズ物を、そうだと分かって観に行く。その場合、そもそもそんなに期待しないというか、「だいたいこんな焼き直し具合じゃないかな?」と予想して臨むことになります。既に続編もリブートもある『悪魔のいけにえ』の過去編として打ち出された今作も、ポスターのメインビジュアルを見ると、なんとなく内容が予想できそう。

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<予想>

例の場所に例の家族が若い状態でいて、ポスタービジュアルの5歳児レザーフェイスが凶悪なモンスターとして襲ってくる。1作目を薄めたようなだいたい同じような話。どこか見所があったらいいなー

 

今作はまずその通りに始まります。

見覚えのある道を通るカップルが不気味な少年に遭遇し、頭のおかしい一家に襲われる。

 

だがそれはプロローグでしかないのです。

想像と全く違う展開

年月が経過し、レザーフェイス君が収監されているらしい精神病院からお話がスタート。ここから映画の趣きが数回変化します。

閉鎖的な精神病院を舞台にしたサスペンススリラー&ちょい人情ドラマ?

車で逃亡する犯罪者カップルと一行、みたいなアメリカン・ニューシネマ的映画?

きちんとしたスプラッタ描写は常にありますが、いわゆる「恐怖」を目的にしたホラー映画とは別ジャンルの映画みたいになっている時間の方が長いです。観客目線では「この中の誰がレザーフェイスなのか?やっぱこいつか?」という軽いサスペンス要素もあります。少しずつジャンルを横断していくのが、この作品の面白さかもしれません。

最終盤にはまた趣きが変わり、取って付けたように「悪魔のいけにえ」の再現のような展開になります。

 1作目が生まれた映画状況そのものを描いた映画か

本家『悪魔のいけにえ(74)』が生み出した「田舎ホラー」的なジャンルは、例えば『イージー・ライダー(69)』みたいなアメリカン・ニューシネマで、奔放な若者が自由を選んだ結果、人知れず他者に襲われて命を落とす、的な王道展開をひねった先にあるとも言えます。

 物語としてはレザーフェイス誕生話ですが、この作品はアメリカン・ニューシネマの先に『悪魔のいけにえ』という作品が生まれたことそのものを描いた映画なのかもしれません。

レザーフェイス 悪魔のいけにえ』のパンフレット

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フルカラー。ページ数は16ページと薄いが、主要キャストのコメント、高橋ヨシキのレビュー、作品解説だけでなく「悪魔のいけにえ」シリーズの解説もあり、小品にしては充実した内容。各ページの下端には「悪魔のいけにえ トリビア」も掲載。

 

映画「LEATHER FACE レザーフェイス - 悪魔のいけにえ -」オフィシャルサイト|なぜ、少年は怪物になったのか? 人が覚醒・変貌する瞬間を目撃する―

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