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【映画感想】『インサイド』 あれ?ホラーじゃない!?

2018年 スペイン・アメリカ合作 監督:ミゲル・アンヘル・ビバス (ヒューマントラストシネマ渋谷で観賞)

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観賞を即決した予告編

映画館でこの予告を見た瞬間に観賞を決めました

www.youtube.com

耳の聞こえない女性が、謎の女に襲われる!。この予告を見る限り、「金持ち屋敷に侵入した泥棒達が、盲目の老人殺人鬼に返り討ちに合う」というホラー/スリラーの名作『ドント・ブリーズ(2016)』の状況を、より困難にしたような同ジャンル映画だ!。と思ったからです。

ホラー映画じゃない!?じゃあ何なのか。

しかし、ホラー映画しか観たくない方は注意が必要です。この映画、ハナからホラー映画として作られていません。

なぜホラー映画ではないか?。この映画のモンスター「謎の女」。確かに素性は全く分からない謎の女です。ですが、映画の前半で思いっきり姿を見せ、主人公への殺意も見せる。そこで分かるのは、「謎の女」は、異常に執着した殺意と行動力はあるものの、普通の人。単なる「知らない人」なのです。怖いは怖いですが、恐怖の存在というよりも、サスペンスドラマの犯人くらいの脅威度です。

「謎の女」は、主人公の自宅に現れグイグイ襲ってきます。しかし、主人公は一人暮らしで難聴という困難な状況の中、なんとか逃れ続けます。

この作品を大まかなジャンルとして分類するなら、ホラーではなくスリラー映画です。ですが、娯楽として突き抜けたスリラーというわけでもありません。「謎の女」に超人的な力があるわけでもない。襲われる場所も自宅なので、建物の異常な構造や罠、秘密などもありません。普通の人が普通の人を殺そうとしてギリギリ殺せないという、少しもどかしいスリラーになっています。

だが後味の悪さがある

この映画の本質は、最初に提示されるメッセージの一文と、それを忘れたころに提示される後半の展開にあります。主人公の女性の「交通事故により夫を亡くし難聴になってしまった妊婦」という設定は、スリラー度を面白くするための設定では無かったのです。この映画の本当のジャンルは「厭な映画」。単純に面白いホラーやスリラーを期待してた観客にイヤ~な気持ちを植え付ける、「スリラーのフリをした厭な映画」。です。ぜひ映画館で軽い気持ちで観てください!

インサイド』のパンフレット

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 フルカラー24ページ。表紙の奥に女の顔が覗く面白いデザイン。解説や監督インタビューの他、平山夢明さん(作家)による「妊婦ホラー」への提言。鷲頭義明さん(映画文筆家)による、リメイク元『屋敷女(07)』との比較。高橋論治さん(映画ライター)によるスペインのジャンル映画についてのコラムなど掲載。この公開規模の映画としては、結構ちゃんとしたパンフレットです。

映画『インサイド』オフィシャルサイト 7.13(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズほか全国公開

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