映画とかのおはなしブログ

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映画感想『サランドラ(77)』ぼくのジョギリ・ショック

1977年 アメリカ 監督:ウェス・クレイヴン

新宿シネマカリテの特集上映「カリコレ2018」で観賞

ホラー/スプラッターの巨匠の作品がスクリーンで観られる!というだけで、予備知識無しで観賞。一部で有名な「ジョギリ・ショック」という謎の宣伝文句の存在自体は、樋口尚文『映画のキャッチコピー学 (映画秘宝セレクション) 』を読んで目にしていましたが、この映画のキャッチコピーだったとは覚えておらず、観賞後に調べていて思い出しました。

f:id:tenguotoko:20180728161634j:plain戦慄のジョギリ・ショック

前半はかなりいい雰囲気

キャンピングカーで荒野の長い道路を進むファミリー。アメリカ横断家族旅行の最中のようです。ボロボロのガソリンスタンドで給油しようとすると、ガソリンスタンドの老人から「ここから引き返した方がええぞ」みたいな忠告をうけます。田舎ジジイの言うことなんて無視して進むファミリー。しかし、いつまでも荒野。もしかして、道に迷って軍の立ち入り禁止区域に入ってないか?と言う疑惑。ファミリーでもめてるうちに、車が藪に突っ込んで立ち往生してしまいます。

この荒野の雰囲気がとてもいい。この作品、前半は明確な怪物や怪奇現象などは出てきません。ゴツゴツした岩や藪がどこまでも広がる荒野で、じわじわと広がる不穏さ。まるで荒野そのものが意志を持ってファミリーを監視しているかのような、何も起きていないのにイヤ~な感じが濃くなっていきます。漫画『ジョジョの奇妙な冒険』では、新手のスタンド使いに攻撃される前に素晴しく不穏な雰囲気になる場面が多々ありますが、それくらい良い「不穏さ」。一体、どのような恐ろしい展開が待ち受けているのでしょうか・・・!?

 後半の落差がスゴイ

と、膨らんだ期待はすぐに弾け飛びます。まるで荒野から監視されているような不穏さ。その正体は、「物陰から男がのぞき見してた」だけだった!

f:id:tenguotoko:20180728163047j:plainこの人たちです。

この作品、分類するなら一応「田舎ホラー」というジャンルになります。荒野で立ち往生したファミリーは、この後、荒野に潜む野蛮な一家に襲われ、命を落としていきます。車で気軽に通りかかった田舎で、キチガイ一家に襲われるという話。プロットだけなら『悪魔のいけにえ(74)』そのもので、1977年という公開年を考えても『悪魔のいけにえ』みたいな恐ろしい映画を目指したのでしょう。

しかし、この『サランドラ』。「田舎ホラー」のさじ加減を間違えてしまいました。もはやホラー映画とは違う、「残酷ではあるけど、なんかヘンな映画」という味わいになっていきます。

ファミリーに襲い掛かる、恐怖のキチガイ一家。彼らを、レザーフェイス一家とも違う、新たな恐ろしいキチガイとして描写しようと工夫したのでしょう。だが、怖いかどうかというと、怖くない。むしろオモシロイ。

見た目はマッドマックス世界の人にも見える彼らは、荒野にテントを張って暮らしている部族。たまに荒野に迷い込む人を襲って生活しているようです。つまり、単なる「山賊」です。振る舞いはキチガイというよりも「義務教育を受けられなかったバカ」のよう。そして残念ながら、見た目はいかついですが、殺人鬼としての強さも、人並みなんです。こういう作品にネタバレも何もないので書きますが、こいつら、「ペットの犬より弱い」ぞ!

前半の素晴らしい不穏さは消し去り、普通に山賊が正面から何回か襲ってくるだけのヘンなお話となります。特に終盤、ファミリーの生き残りのいる場所へ、二人の山賊が一生懸命走っていくシーンが2分くらい続くのはサイコーです! あと、TUTAYAで『サランドラ2』借りてきました!

ポスターにあるジョギリ・ショックのシーンはない。



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