2017年映画感想ツイートまとめ その7 (11月分 25本くらい)
前回 2017年映画感想ツイートまとめ その6 (10月分 21本くらい) - 映画とかのおはなしブログ
元は「〇〇なう」形式なので整理。当時の感情こそが貴重なので、今の意見は足さず、当時のまま残す。観た作品全部の感想を書いているわけではない。
『ブレードランナー2049【IMAX3D】』監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ (109シネマズ木場)
ブレードランナーのよく出来た続編。人かロボか的テーマを進めた結果、ほぼ人間である孤独なロボがARギャルゲだけを心の拠り所にする。虚構の記憶(例えば、昔見た映画)でも、人はそれを支えにして生きていく、みたいなお話。
『エクリプス』(2017年) 監督:パコ・プラサ (シネマート新宿)
素敵な女子高生が、こっくりさんで恐ろしい目に。普通に見ると、恐怖シーン少なく怖さも弱く、ホラーとしてはマイルドすぎて違和感。どちらかというと、働きづめの片親の母の代わりに3人の妹弟の世話を頑張るお姉さんの心労を描いた、社会派っぽい映画なのかなと思う。
『マイティ・ソー バトルロイヤル【IMAX3D】』監督:タイカ・ワイティティ (TOHOシネマズ新宿)
3作目にしてマーベルの何でもあり世界観を反映。スケールでかいのか内輪なのかわからんが、今までより面白いバトル宇宙コメディ映画に発展。体感上映時間は3時間以上で、長かった。ロキさんを粗雑に扱う天丼ギャグのバランス感。
『愛のメモリー』(1976年)監督:ブライアン・デ・パルマ (新文芸坐で )
過去に犯罪被害で妻子を亡くした男の前に、奥さんそっくりの女性。画が非常に綺麗で感動恋愛ものになりそうなのに、男の目が終始イッていて普通じゃない。その為、スリラーでもミステリーでもない、ホラー寄りの独自サスペンス感がずっとあった。
それにしても、終盤正体が明らかになる悪者。企みがかなり上手くいって主人公を追いつめてるのに、急に自分から全部話したせいで、キレた主人公に逆転されるのはマジで笑った。こんな見事な「冥土の土産に教えてやろう」はキッズ向け作品以外ではじめて見た。
『IT イット“それ”が見えたら、終わり。』監督:アンディ・ムスキエティ (新宿バルト9)
少年らの前にとても怖いピエロが出まくる。洋モダンホラー&Jホラー演出の博覧会的な、怖がれるホラー映画でありつつ、子供達がクズな大人への恐怖心や世の中の理不尽さと対峙する感動的なジュブナイル映画でもある。米ホラーの新たなスタンダード。
客層が映画マニアではなく、大学生以下の興味本位で来てるような若者ばかりで、満席に近い埋まり方なので日本でも流行ってきていそう。ガチで怖がっている人がいっぱいいる中で観賞できたのがとても良かった。
『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』(1984) 監督:石黒昇、河森正治 (丸の内ピカデリー爆音映画祭)
何度も観てるが映画館観賞は初。精密メカが広がりBGM鳴り響く感謝。巨大スクリーンで、場面によってはバルキリーも巨人も1/1スケール! 超絶死人が出てるのに歌うのグダるシーンの異様さ! 今見るとブリタイに『メッセージ(2016)』感あり沁みる。予測以上に良かった!
それにしても、出てくるマスコミ。地球滅亡が判明し、人類が初めて遭遇した侵略異星人と休戦した会見にもかかわらず、芸能人スキャンダルを激写しちゃう。だけど、社会問題とかよりも文春砲的なスクープばかり騒いでいる現実がある今だと、変なリアリティがある。
『予兆 散歩する侵略者 劇場版』監督:黒沢清 (新宿ピカデリー)
『散歩する侵略者』の番外編というか実質2作目。別ケースの侵略者の話。2作見ると、侵略者の行動も逆にガイドにする人間次第なことが分かる。今作では、ガイド人間の悪い感情を反映し、容赦無い侵略。怖さとも違う、ブラック度の強いブラックコメディ映画。
行われた初日舞台挨拶の中で「もし奪えるなら奪ってみたい概念は何ですか?」という司会者の質問。東出昌大さんは、監督から映画に対する熱い想いを。黒沢清監督は、俳優さんから演技という概念を奪ってみたい。みたいなことを言っていた。
『ハネムーン・キラーズ』(1970年) 監督:レナード・カッスル (新文芸坐シリアルキラーオールナイト)
凄腕の結婚詐欺師が、気性荒い巨漢の女と恋人になるが、そのまま一緒に詐欺稼業を続ける。この巨漢。結婚詐欺の途中でブチキレて次々と相手の女を殺しちゃう!(笑)。最高に迷惑極まりない激ヤバ異常カップルの珍道中だが、撮影が立派だからか下品で上品な独特のバランス!
『地獄愛』(2014年) 監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ (新文芸坐シリアルキラーオールナイト)
『ハネムーンキラーズ』と同じ殺人事件の映画化で、ベルギー版リメイクにも見える。今作の彼女は見た目は優しそうなのに、精神不安定ですぐキレる殺す。ヤバい行為の途中で急に歌ったり、焚き火の周りで超スピードで踊り狂ったりと、ヘンな場面が。同じ話だけど全然別の映画という感触。
『ありふれた事件』(1992年) 監督:レミー・ベルヴォー、アンドレ・ボンゼル、ブノワ・ポールヴールド (新文芸坐シリアルキラーオールナイト)
毎日毎日殺人強盗して暮らしてるヤバい男(!)を、取材して映画撮ろうとしてるクルー。男は前向きに協力してくれるが(笑)、取材を続けるうちに、撮影班の感覚も狂い、お互い影響与える共犯者になっていく。全編カメラ視点の先で、日々酷い事態。怖くて危険で面白い凄い映画。
『ハンガリー連続殺人鬼』(2016年) 監督:アールパード・ショプシッツ (新文芸坐シリアルキラーオールナイト)
過去に悲惨な事件あった田舎町で、また連続暴行殺人。検事が犯人追うが、裏に過去の杜撰な捜査が見え隠れ。ホラー映画ではなく、ヒッチコック『私は告白する』、是枝裕和『三度目の殺人』等と近い感じの、志が高いが厭な気持ちになる社会派サスペンス司法刑事ドラマ。
『リュミエール!』監督:ティエリー・フレモー (東京都写真美術館ホール)
映画を発明した兄弟の50秒映画108作を、解説つきで体験。適当な撮影ではなく、全作明白な演出意図がある。アクション/美しいショット/コメディ/巨大メカ/異国/戦争/格闘/蘇る死人/フェイク/3D/ねこ、などなど、あらゆる映画要素が既に見え隠れして興奮!
『美女と野獣』(1991年) 監督:ゲーリー・トゥルースデイル、カーク・ワイズ (DVD)
初めてちゃんと観てみた。貸本屋の本を全部読んでいる、今で言う超オタク少女が、クソ社会を脱出して、萌えキャラ(ケモノ王子&喋るかわいい家具)しかいない城で、幸せになる話! 町には脳筋鬼畜サイコパス男がいっぱいいて、不法侵入・監禁・暴行・私刑も日常茶飯事の疑いがあり、実質田舎ホラーとして観ることができる。
冒頭、主人公ベルに陽気に挨拶する町人の中にいる、私刑されてるらしき男?の存在が怖い。
邪魔者に精神病のレッテルを付けて監禁する医者が、いつもやってるようで怖い。
「殺せ!」と叫んで突撃する男達がほぼ彼岸島。
父の作った謎の薪割りマシンが醸し出す、『マングラー』的殺人機械感。
『GODZILLA 怪獣惑星』監督:静野孔文、瀬下寛之 (ヒューマントラストシネマ渋谷)
宇宙に逃げた地球人&宇宙人同盟が、戻ろうとする1万年後の地球は怪獣の惑星だった!第一部に過ぎないせいか、怪獣はそんなに出ず、ボストエヴァ系ゼロ年代ロボットアニメくらいの感触。全編説明台詞。準備不足のオモシロぽんこつ軍隊の自滅が描かれる。
この作品に登場するスーパー未来軍隊。空をビュンビュン飛べるスゴイスーパー未来バイクを持ってる。でも、ゴジラと戦うことが分かってるくせに、武装を正面にしか撃てず、射程が短いせいで、当然ゴジラに突撃する感じで近接戦闘になり返り討ちに…
この既視感のあるポンコツさ。たいして調査をしないまま未知の星をウロウロしてエライ目に合うという『エイリアン: コヴェナント』と同じ奴だな、、、
せっかく実写より自由なアニメで、1万年後で、宇宙SFというなんでもあり設定なんだから、今までの東宝怪獣宇宙人が全部出てきて欲しかった。少なくとも『キングコング 髑髏島の巨神』の倍くらいの種類の怪獣は出てきて欲しかった。せめてラスト2分で何の脈絡もなく大ダコ先輩は出てほしい。
育ちが非常によくない四人家族が、知り合いの金持ちを殺して財産奪おうとする。父母兄全員クズで狂人。家族内ですら同調圧力と責任転嫁で、殺し等の汚れ仕事は真面目な弟に押しつける。常識外れに利己的に悪すぎて、もはやコメディ。という危険で楽しい娯楽映画。
『復讐 運命の訪問者』(1997年) 監督:黒沢清 (新文芸坐 黒沢清オールナイト)
最初は刑事ドラマ&ヤクザVシネ風。だが、黒沢清世界の警察はやはり何もできず、その話を逸脱し、殺し屋一家とそれを追う復讐鬼 哀川翔というノワール映画に。六平直政の、俗物でずうずうしいおじさん殺し屋というサイコパスぶりが、ゼロ年代暴力邦画を先取りしていて恐ろしい。
ちなみに、『全員死刑』→ 黒沢清オールナイト と、はしごした結果、サイコパスの六平直政を2作連続で観るというシンクロニシティが起きてしまった。
『復讐 消えない傷痕』(1997年) 監督:黒沢清 (新文芸坐 黒沢清オールナイト)
復讐の2でもあるが、後の蛇の道に繋がるような奇妙な雰囲気で、単独映画として成立。冒頭から静かな銃声でパンパン撃ちまくり、事あるごとにすぐ撃つのが楽しい。汚れたオープンカーで街中をウロウロし続けてお喋りするシーンなど、変な気持ちになる面白いシーン沢山。
『回路』(2001年) 監督:黒沢清 (新文芸坐 黒沢清オールナイト)
何度目かの観賞。スクリーンで観ると、PC画面等の怖い境界が自分と直接繋がってしまっている感がある。『復讐』2作と続けて観ると、哀川翔のちょい出演シーンが続きのように感じられ、復讐の後で行き場を無くした男が、家族や妻の霊と会うために?、無意識にあの世の扉を開けてしまったようにも見えた。