2018年映画感想ツイートまとめ 2月分 18本分くらい
元は「〇〇なう」形式なので整理。当時の感情こそが貴重なので、今の意見は足さず、当時のまま残す。
前回 2018年映画感想ツイートまとめ 1月分 12本くらい - 映画とかのおはなしブログ
犯罪と立証できない連続殺人事件の容疑者である黒い男を、警察が追う。各事件にはそれぞれ小さな謎があり、明らかになる真実は悲惨。ほとんど地獄少女と化している松坂桃李の出入り頻度激しく、都市伝説的な謎の人物のわりに、すぐ連絡つくしあらゆる場面で現場に出てくるのでなんか楽しくなるぞ。
『アバター【字幕3D】』(2009年) 監督:ジェームズ・キャメロン (TOHOシネマズ日劇)
完全初見。導入の宇宙SF感は勘違いで、実質ファンタジーCGアニメ映画。規模の小さいFF。この惑星は地球のあらゆる戦場より地獄!と言ってるわりにはユートピア。怪獣とパワードスーツ軍人の戦闘などは良いけど、長い長い!3Dはリアルタイムで観たら凄かったのかな?
『スリー・ビルボード』監督:マーティン・マクドナー (TOHOシネマズシャンテ)
田舎町、娘を惨殺された母親が、捜査進まない警察を糾弾する広告を出したことで、周囲の人々が様々に反応。苦しむ一個人が、クソな社会と対峙し続ける。だがその社会も、苦しむ個人それぞれの集まりであろうことも見えてくる。受け入れるのに体力も精神力も必要な大作。
『RAW〜少女のめざめ〜』監督:ジュリア・デュクルノー (TOHO六本木)
ベジタリアン少女が入学した獣医大学は超体育会。潔癖気質にはキツい慣習の数々を強いられるうちに、いつの間にか人を食べたくなってしまう。恐怖映画ではなく、ヒリヒリするイニシエーションスプラッタ。新しい環境に悩む人が見たら少し救いになるかもしれない。
『パターソン』監督:ジム・ジャームッシュ (目黒シネマ)
起きて歩いて出勤して… 。市バス運転手で詩人の男の一週間を追体験。繰り返す毎日の中で、頭の片隅にわずかに残る言葉や出来事が通り過ぎていく。徒歩やバスの移動シーンは何故だか目が離せない。観賞後に、自分の心があきらかに浄化されているという映画体験は初めて。
『デトロイト』監督:キャスリン・ビグロー (TOHOシネマズシャンテ)
1967年に起きた超大規模な暴動の発生〜拡大。どうにもならなくなる火中を目の当たりにする体験。事態がどんどん悪くなっていく緊張と不安のサスペンスに圧倒される。理不尽で厭過ぎて怖過ぎる。人種差別問題に限らない、幅広い意味で道徳の教科書になるべき映画。
『ゆれる人魚』監督:アグニェシュカ・スモチンスカ (新宿シネマカリテ)
童話の人魚姫を、ミュージカル演出等でおしゃれでかわいく整えた怪奇映画。人魚に人間の価値観や常識が無いリアリティ等、独自の面白さもあるが、人魚二人の美しさとキャラを楽しむ作品かも。予告編から感じられるワンダーはそのままあるので、予告で気になった人にオススメ。
あの世とこの世を繋げようとするグループが、百物語を発展させたような謎の実験をする。個々の語りはいわゆる怪談とも違う話で、内容もバラバラだが、ずっと聞いてると想像力を刺激され、霊的な何かが起きてもおかしくない気分になっていく。観客参加型の心霊映画。
『赤色彗星倶楽部』監督:武井佑吏 (ポレポレ東中野)
ゆるい天文部文系男子の、漫画みたいな青春。文化祭前の空気に代表されるような、誰かの高校時代にあったのかもしれない、キラキラソワソワの美しい感触を封じ込めた映画。その純粋さノベルゲーム級。手島実優さん演じるヒロインがとっても魅力的に撮られてる。
ところで、『霊的ボリシェヴィキ』→『赤色彗星倶楽部』と、今まで映画の中では聞いたことがないボリシェヴィキという言葉が出てくる映画を2作続けて観るというシンクロニシティが起きてヘンな気持ち。
『未知との遭遇(特別編)』監督:スティーヴン・スピルバーグ (新宿ピカデリー爆音映画祭)
映画館観賞は初。冒頭から、感謝溢れる臨場感。コミュ症のUFOが、もったいぶってじわじわ出るだけの話なのに、全シーンがセンスとワンダーで眼福。ギラギラのビジュアルと音響でヤラれる。映画を観てるというより、事件を目撃・体験してる感じだった。
やさぐれ巫女さんの周囲で巻き起こるオフビートなコメディ…と思いきや、神社に浮浪児が住み着いてたことが発覚(!)。不自然なくらい理不尽な世間に、一人の女の子が責められムカムカするつらいドラマになる。単純娯楽映画ではない。画に力があり広瀬アリスさんも良い。
この映画、アイドル女優推しのライトコスプレラブコメかと思いきや、痛快娯楽映画とは真逆。様々な問題が解決されるわけではない、人情ドラマでもない、一言ではうまいこと説明できないソフトストーリーだった。『湯を沸かすほどの熱い愛』からエンタメとお涙を引いたような感じというか、、、。うまく咀嚼できない。
『羊の木』監督:吉田大八 (池袋HUMAXシネマ)
元殺人犯6人の社会復帰を内密に受け入れた地方の港町で、何かが起こりそうな気配。6人の隠しきれぬ魅力的なヤバさに、周囲が刺激され不穏さ膨張。だが、予想の方向にも行かない。2時間が4時間にも感じる程のめり込んだ。サイコホラーサスペンスヒューマン青春映画?
原作に忠実でありつつ、生身の存在感や気持ち悪さの力は増幅。2018年の新作映画として見ると、90年代を舞台にした時代モノの青春映画という感じもあり、ベタなプログラムピクチャーが更新されたものを観たなという感触。閉塞した日常は、ある意味ホラー。
ネットで神格化されてた女の子が、狂ったピエール瀧&リリーフランキーに拉致監禁。狂った奴らはさらに集まってきて、気狂いバトルロイヤルかつ、運命共同体のような変な感じになっていく。暴力/アイドル映画の混合コメディ。何度も様相が変わってく展開が面白い。
そういえば、『リバーズ・エッジ』→『サニー/32』と、続けて観た映画で、限界女子がカッターナイフで滅多刺しにするシンクロニシティがあった。
『悪女 AKUJO』監督:チョン・ビョンギル (角川シネマ新宿)
復讐の未亡人女殺し屋が、非情の任務。同時並行で、アパートのお隣さんとの許されぬ恋愛といったド直球メロドラマを繰り広げる(自分の結婚式中に狙撃任務をする!)。ドラマのダイレクトさに忘れかけた頃にハジける超アクション!『ハードコア(2015,露)』の影響を非常に感じました。
『(r)adius ラディウス』監督:カロリーヌ・ラブレシュ、スティーヴ・レオナール (ヒューマントラスト渋谷、未体験ゾーンの映画たち2018)
寂れた郊外、記憶喪失男の周囲で突然死。自分に近づいた生物が死ぬことが次第に分かってくる。SFスリラーな序盤の雰囲気が結構良いが、予想される範囲のジャンル映画展開にはならない、別種の映画。確かに未体験な感じはあり、静かな佳作なのかも。
『化け物と女』監督:池田暁 (有楽町スバル座 )
「若手映画作家育成プロジェクト」の上映の中で面白かった一本。タイトルとあらすじだけでホラーの可能性に賭けて観たんだけど、そうではなく、ロベール・ブレッソン風の不思議コメディという、ありそうで無い作品。小さな町に化け物が出るという噂が流れ、淡々と喋る人々が淡々と混乱。
『イントゥ・ザ・ストーム』(2014年) 監督:スティーヴン・クォーレ (レンタル)
軽い気持ちで観たが、思いのほか良かった。POVを、ドキュメンタリーとしてではなく劇映画のリアリティを強化するために活用。目の前でド直球に信じられない竜巻災害が巻き起こっていく。これは娯楽災害映画の名作。爆音上映で大スクリーンで体験してみたい!
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この月は『スリー・ビルボード』『パターソン』『デトロイト』『羊の木』と、人間ドラマの傑作がいくつもあった。『霊的ボリシェヴィキ』は、そんじょそこらのJホラーの遥か先を行き、完全に独自の価値観を作り出している感じ。『不能犯』の松坂桃李さんは行動がほとんど地獄少女なのだが、のちに白石晃司監督自身が映画『地獄少女』を担当したのは笑った。
【次回】