映画とかのおはなしブログ

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2017年映画感想ツイートまとめ その8 (12月分 22本くらい)

前回 2017年映画感想ツイートまとめ その7 (11月分 25本くらい) - 映画とかのおはなしブログ

元は「〇〇なう」形式なので整理。当時の感情こそが貴重なので、今の意見は足さず、当時のまま残す。

テラフォーマーズ 』(2016年) 監督:三池崇史 (レンタル)

ゴキブリ怪人が繁殖した火星で、戦力の足りてない改造人間部隊が頑張る。送り込まれた人間達の育ち悪そうな感じ/感情移入前にすぐ死ぬところ/小手先のどんでん返し/絶対勝てなそうな魅力的な敵/と、原作の個性が抽出されてる。ツッコミつつ応援上映したら楽しいのでは?

『ウィッチ』(2015年) 監督:ロバート・エガース (新文芸坐オールナイト)

事情があり、森に移り住んだ家族に不穏な事態。長女は可愛い過ぎるせいか毒母に疎まれていたが、その妬み感情は、さらに魔女疑惑に変わる。主演アニヤ・テイラー=ジョイの、可哀想なのにひょっとして何かあるかもオーラが良い。17世紀西洋的な『葛城事件』?。薄暗い中にいるうさぎさんとヤギが怖いぞ。

ディストピア パンドラの少女』(2016年) 監督:コーム・マッカーシー (新文芸坐オールナイト)

感染ゾンビで滅びかけの世界。ゾンビだが人の意思を持つ新人類少女と、ここまで生き残れたのが不思議なくらい迂闊な奴らがサバイバル。序盤のSFな筋書が良く、テーマはロメロゾンビ4作の延長で高尚。なのに、取り巻きの方々の行動が何度か致命的におバカで、変な気持ちになる。

彼女がその名を知らない鳥たち』監督:白石和彌 (新宿バルト9 )

過去に何かあり、夫婦関係が終わってるらしい女が不倫。皆クズであることが分かってからも、暴力ミステリー映画というよりも恋愛映画寄りという妙な雰囲気。ここで終わるかと思った何度かの場面で終わらず、脂っこく進む。ある老人が急に出るシーンの異質感。

過去に不倫してた超クズなハンサム役の竹野内豊さん。『シン・ゴジラ』の人と同一人物とは全く見えなかったのが凄い。

『クボ 二本の弦の秘密【字幕】』監督:トラヴィス・ナイト (新宿バルト9)

親を失った少年が、猿おばさん&謎のクワガタ戦士と旅をする。人形ストップモーションアニメの素晴らしさは、凄さの閾値を超えてるせいか、凄い事と分かっていても、CGアニメみたいだなあと思ってしまう。大人よりも普通に子供達に観てほしい、かなり王道の少年まんが映画(あえてこの言葉)

『ガールズ&パンツァー最終章 第1話』監督:水島努 (新宿バルト9)

中編OVAを劇場公開。人間パートがずっとふざけてるのだが、ノーテンキにノーテンキを重ねるヘンな展開のままドラマが進んでしまい、これが面白い。今回、この作品の世界観の中ではちょっと信じられんところから強引に仲間が増えるのは、カブトボーグ的な面白さもあった。

『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』監督:河合勇人 (レンタル)

福井県の廃部寸前チアダンス部が、掲題の活躍をしちゃうスポ根青春映画。田舎女子コメディも楽しい前半から、ストイックな高みへのドラマへ次第に移っていく。王道、かつ期待値を上回っていく名作! 山崎紘菜演じる、周囲から浮いてた娘が沁みる。

ビジランテ』監督:入江悠 (テアトル新宿 )

地方の有力者が亡くなる。次男と三男の元へ、30年失踪してた長男が土地の相続を手にし現れる。そこに、ショッピングモール建設の黒い計画と、外国人差別が混ざり、取り返しのつかない事態に。もがいても鬱屈が解決されることはない、苦しい映画。篠田麻里子さんが実質くノ一。

自分の観賞した回の終了後には、怖い怖いヤクザ役の皆さんだけが出てくる、変化球の舞台挨拶があり楽しかった。埼玉のヤクザ兄貴分役の般若さんは、自分の出てるシーンが全部犯罪しかしていないとツッこんでいた。

『ヘドローバ』監督:小林勇貴 (渋谷UPLINK)

健康カルト教祖婆さん&孫の超悪人兄弟に支配された地方のスラム団地とご近所が、信じられん混乱。リアル貧困な暴力犯罪コメディ映画が次々歯止めきかなくなり飛躍。マジ滅茶苦茶だが、支離滅裂ではない。映画を面白くする事のみに悪い力を注いだ、サラダボウルマシーン。

なんとなく、若手トップの岩切一空監督へ正面からケンカを売るような形で、『孤高の遠吠』と『全員死刑』の持ち味を活かしたまま、『ケンとカズ』/空賊/『牯嶺街少年殺人事件』/ホドロフスキー等、小林監督が好きな映画をぶち込んだ上に、ミートボールマシンでグチャ混ぜにしたような映画だったのではないか、という感触があった(妄想)。

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ゴッホ 最期の手紙【字幕】』監督:ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン (TOHOシネマズ六本木)

ゴッホの絵がスクリーンの中で動くという驚異のアニメ。この作品の魅力はそこに尽きる。とりわけ、たまに挿入される風景画の中でのシーンは輝く目眩のような感じ。ドラマとしては、ゴッホの死の真相を探る男が関係者とお話をするワビサビミステリーで地味〜。

パーティで女の子に話しかけるには』監督:ニール・ゲイマン (ヒューマントラスト渋谷)

イギリスのパンク大好き男の子が、世界一かわいいヘンな女の子と、めぐりあい宇宙。題から想像される学園カーストものではなく、ある別ジャンルの映画。違う価値観なのに、会話が噛み合って進んでいくおかしさと純粋さ。楽しい幸福な映画!

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仮面ライダー平成ジェネレーションズFINALビルド&エグゼイドwithレジェンドライダー』監督:上堀内佳寿也 (T-JOY品川)

ビルド対エグゼイドを力技ながら、いつものライダー大戦基準よりも丁寧に構築。そこにオーズとフォーゼも、きちんと本編から地続きのその後の姿として助けに来る。毎年この感じだと幸せになる真っ当な夢の競演映画。

『花筐/HANAGATAMI』監督:大林宜彦 (有楽町スバル座)

戦争ムード進む日本。男3人女4人の生命ほとばしる友情、BL、百合、色々と、愛の闘いの青春。監督の近年作より、一見分かりやすそうな反戦もの。だが、今生きている全ての人へのメッセージは、そこにとどまらない。老人の晩年の後悔を、一瞬で追体験してしまう映画。

スター・ウォーズ/最後のジェダイ【IMAX2D】』監督:ライアン・ジョンソン (T-JOY品川)

闇の軍団が結構バカなので勝てるかもと思った反乱軍だが、自分らはもっとポンコツだった!英雄たちの思いつきの雑な行動は、全て裏目に出て無駄死にの連鎖。おバカな面白展開と自己犠牲美化が食い合わせ悪い。前作で高潔さを感じたレイもかわいいだけになっちゃった。

2017年に映画館で観た他の映画300本以上の中で印象が一番近いのは『HiGH&LOW THE MOVIE 3 FINAL MISSION』です。

『変態アニメーションナイト2017』(ユジク阿佐ヶ谷)

テーマだったり表現だったりが色んな意味で変態な、短編アニメオムニバス。上映作品の中では、子供の落書き世界が生きてるようなゴキゲンかわいいメルヘンドラッグアニメ『Wink Rabbit』が、今まで感じたことのない種類の面白さで圧倒的に好き。

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ノクターナル・アニマルズ』監督:トム・フォード (渋谷シネパレス)

20年前別れた夫が送ってきた小説を読んでみたら、エグい田舎ホラーリベンジものだったが、筆力はありグイグイ読んでしまい…。映画の半分を占める小説パートは絵空事なわけだが、つらすぎる心情にシンクロ。作品の力に、事実も創作も関係ないんだぜ、みたいな映画。

怪物はささやく』監督:J・A・バヨナ (飯田橋ギンレイホール)

片親で学校でもいじめられている孤独な男の子。『キングコング』を観た影響で妄想した怪物(『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のグルート似)と対話を続けるが…。切ないイマジナリーフレンドものを何か観たいならこれ!と言える、想像したままの正統派の作品。同じくイマジナリーフレンド映画である『ゴジラ・ミニラ・ガバラ オール怪獣大進撃』と併映希望。

『汚名』(1946年) 監督:アルフレッド・ヒッチコック (シネマヴェーラ渋谷)

惚れた男の依頼でスパイをやってみた美人が、ナチ残党のおじさんを堕とすべく頑張る。だがしかし、すぐイチャイチャしてしまい脇が甘い。ロマンスとサスペンスが同時進行する萌え映画。地味だが、何故かずっと観ていられる。敵味方どちらの最後も見せない終わり方がクール。

『三十九夜』(1935年) 監督:アルフレッド・ヒッチコック (シネマヴェーラ渋谷)

殺人犯にされた男が警察から逃げ続けるサスペンス。かつ、次々笑わせにくるコメディ。テンポが早く、どんどん違う場面に移る。後の様々な映画やTVや漫画などで引用されているような名シーンばかりで凄い。作品をどうこう語るというよりも、純粋に面白かったという感触。

『疑惑の影』(1943年) 監督:アルフレッド・ヒッチコック (シネマヴェーラ渋谷)

久々に家にやって来た実業家のハンサム叔父さんに喜ぶお嬢さんだが…。序盤はホームドラマのような雰囲気もありながら進む。次第に、叔父さんの異常さが見え隠れし不穏な展開に。サスペンスをひねっていったら、ホラーが芽生えつつあるような映画。

山羊座のもとに』(1949年) 監督:アルフレッド・ヒッチコック (シネマヴェーラ渋谷)

19世紀オーストラリア。前科者と卑しく見られてる夫と、令嬢だが心が弱ってアル中になってしまった奥さんと、そこに訪れたイイ男の三角関係。話の大半が展開する広いお屋敷内をカメラがぐいぐい〜と追いかけていく不思議な感触。その中で、たまにショックシーン!

勝手にふるえてろ』監督:大九明子 (新宿シネマカリテ)
中学の時の同級生に、10年間脳内片想いの内気な女の子が、もがくもがく。気分次第で世界が輝いてたり絶望したり。現代人の孤独と面倒くささ、そして出会い。始めから終わりまでずっと面白いという驚異の名作な恋愛コメディ映画。松岡茉優さんは優勝!

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この月は、小林勇貴監督『ヘドローバ』、大九明子監督『勝手にふるえてろ』などが傑作でした。シネマヴェーラヒッチコック特集もいい体験でした。
 
【次回】