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【映画感想】『ウインチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』怖いの苦手な人こそ一番楽しめる、いいライトホラー

2018年 アメリカ 監督:マイケル・スピエリッグピーター・スピエリッグ (TOHOシネマズ新宿で観賞)

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実在する幽霊屋敷

ウインチェスターハウスは、アメリカに実在するお屋敷。「西部を征服した銃」といわれる性能の銃を開発し莫大な資産を生み出したウンチェスター社。その会社を継いだ未亡人、サラ・ウィンチェスター婦人のお屋敷です。

このお屋敷。新しい部屋・ドア・窓・階段などが常に増え続けており、内部は迷路のようになっています。と言っても、増築そのものは、学校の怪談によくあるような「知らないうちに階段が13段に増えている」みたいな、勝手に部屋が増えるような怪奇現象ではありません。サラ婦人の発注の元、24時間シフト体制で大勢の大工さん達が出入りしており、常に新しい部屋を増築・建て壊しをしています。その増築も、まともではありません。行き止まりの階段、通路になっているクローゼット、開かずの間などが大量にある異常なお屋敷なのです。サラ婦人はなぜ、このような増築を続けているのか?

いい塩加減の幽霊屋敷映画

ウィンチェスター社の経営陣は、そんな異常な増築を繰り返すサラの精神状態に疑いを持ち、精神科医のエリックに精神鑑定を依頼。そこからこの作品は始まります。

良い幽霊映画の面白さのひとつに「幽霊がいるのか、いないのか、分からない」状態が続く面白さがあります。この作品はもちろん、幽霊屋敷映画なので、主人公のエリックが屋敷に滞在して以降、幽霊がいい感じにコンニチワ! しかし、このエリック、過去に妻を失ったトラウマを紛らわすためにドラッグをキメている。こいつ、ドラッグのやり過ぎで幻覚を見てるだけでは?という可能性があります。

そしてもう一人の主人公、サラ婦人は、幽霊を成仏させるためにお屋敷を増築している、と主張。ですが、「自分の会社の銃が大勢の人を殺して儲けているという罪悪感」に耐え切れず、頭がおかしくなったのではないか?、と周囲から疑われているような精神状態にも見えます。

また、屋敷の使用人や大工さんをはじめ、大勢の人がこのお屋敷を24時間出入りしていますが、幽霊を目撃している人はほとんどいないようなのです…

怖いのが苦手な人こそ一番楽しめるのでは?

 この作品。全体の3分の2くらいまでの、「幽霊がいるのかいないのか分からない宙ぶらりんの状況から、ある決定的な存在が明らかになるまで」がいい感じです。そして、舞台となるウィンチェスターハウスのセットも、期待していたほどの迷宮感は無いものの、あきらかに異常なお屋敷である、というツボはついており、魅力的です。

ただし、自分のようなホラー映画大好き人間からすると、悪くないシーンはいくつもあるものの、「怖さ」が足りませんでした(その「怖くない」問題については、この作品に限らない部分もあるので、別の記事で書く予定です)。しかし、怖いのが苦手な人からすると、十分怖い内容であるかと思います。つまり、この映画を一番楽しめるのは、怖いのが苦手な人です。怖いのが苦手な人こそ、ぜひ『ウインチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』を観てください!そしてホラー映画の楽しさを知ってください!

ウインチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』のパンフレット

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24P カラー/モノクロ。映画解説の他に、バッククラウンドとなったウインチェスターハウスまわりの史実について解説。ノンフィクション作家 山口直樹さんによる、世界に実在するミステリーハウス5つの紹介。ホラー作家 平山夢明さんのコラム「サラは静かに睡(ねむ)れたのか」も掲載。スタンダードなパンフレットです。

 

映画『ウィンチェスターハウス アメリカで最も呪われた屋敷』公式サイト

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