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【映画感想】『カメラを止めるな!』-POVホラー試行錯誤の先の喜劇

(2018年 日本 監督:上田慎一郎) 池袋シネマ・ロサで観賞。

作品の性質上、全くネタバレ無しの感想は不可能。気になる人はネットを閉じてすぐ観に行ってください。

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ゾンビ映画の突然変異の先

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(68)』、『ゾンビ(79)』以降、世界中でゾンビ映画がゾンビそのもののように名作駄作無限増殖。その増殖は今でも続いています。その途中で、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト(99)』発のPOV映画ショックの先に『REC/レック(07)』が、初の本格的なPOVゾンビ映画として衝撃の登場。そして、ホラーを中心としたPOV映画自体も一つのジャンルとしてレンタル店の棚を中心に無限増殖しました。ジャンル映画として類似作品が大量に現れると、その中で変化球や突然変異作品が作られます。日本でも白石晃司監督の『コワすぎ!』シリーズなど、斬新で面白いPOVホラーが撮られました。『カメラを止めるな!』は、その延長線上に生まれた突然変異作品です。

二重三重の構造

カメラを止めるな!』は、二重三重の構造を持っています。何故か『ONE CUT OF THE DEAD』というタイトルでのスタート。低予算丸出しのゾンビ映画を撮影中のクルー。ゾンビがヒロインを襲うシーンを撮影中ですが、ゾンビ役のメイクも安っぽく、クライマックスの重要なシーンらしいのに役者の演技も明らかにダメダメ。監督も変人らしく、このシーンだけで42テイクも撮り直しているというのです…

撮影は一旦休憩に入るものの、監督のテンションについていけず、既にダレている現場。ところが、そこに本物のゾンビが乱入します!。つまり、「ゾンビ映画を撮影中のクルーがゾンビに襲われるワンショット撮影のPOV映画」だったということが、序盤ですぐに判明します。

しかし、「長時間のワンショット撮影をしていることそのもの」にはなかなか関心するものの、肝心のゾンビ映画としての出来は最低レベル。アドリブの失敗や変な間などもあり、「見所が皆無とは言えないが、そんなに面白くない、へたくそなPOVワンショットゾンビ映画」が結構な時間続きます…

もちろん、これだけではブログにいちいち感想を書いたりしません。30分以上続くワンショットのゾンビ映画が終わった先にようやく現れる、『カメラを止めるな!』のタイトル!。この作品は、なんと世界初、「『ゾンビ映画を撮影中のクルーがゾンビに襲われるワンショット撮影の生放送POVゾンビ映画』という無理目な課題を、なんとか撮影しようと奮闘するクルーのドタバタを描いたコメディ映画」だったのです!。次々と明らかになっていく撮影開始までのいきさつ。生放送中の舞台裏では個々のシーンがどれほど放送事故寸前だったのか!。前半は全てネタ振り。後半は全てオチ。その完成度はすさまじく高く、一体どう計算して組み立てたらこんな映画を作り上げられるのか全く分かりません。

ここまで読んでしまった方も、「2018年を代表する邦画コメディ」としてのこの映画の面白さは全く損なわれません。映画館で是非観てください。

カメラを止めるな!』のパンフレット

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38ページフルカラー。「完全ネタバレ仕様」として、作品を観終わった後で楽しめる制作裏話とメイキングがメインの内容です。脚本決定稿も全て収録という充実した内容。裏表紙は嬉しい『ONE CUT OF THE DEAD』脚本仕様。参加した上映回では急遽舞台挨拶が行われ、さらにその後、参加された監督&出演者の皆さんによるサイン会があり、より素敵な裏表紙にしていただきました。

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フォトセッション中の皆さん

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kametome.net

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