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映画感想『ザ・プレデター』職人芸光るハイテンポなスナックムービー

2018年 アメリカ 監督:シェーン・ブラック (新宿ピカデリー 字幕2D)

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昨年から、『エイリアン:コヴェナント』『T2 トレインスポッティング』『ブレードランナー2049』『ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル』など、過去の名作映画の続編が、以前にも増して増えてきた気がします。(『スターウォーズ』のシリーズ化復活が商業的に成功したからでしょうか?) しかも、どの作品も結構面白い。昔のような「続編に名作無し」のような状況ではすでにありません。『ザ・プレデター』も、その流れをくむ、『プレデター』シリーズの正当な続編です。

いきなりプレデター視点でスタート

映画はいきなり宇宙からスタート! プレデターのものと思われる宇宙船が別の宇宙船から逃げています。ワープ先はもちろん地球。宇宙船は地球に落下していきます。

この『ザ・プレデター』がいさぎよいのは、シリーズのお決まりや既に観客が分かっている部分をいちいち隠したりしない点。少なくとも『プレデター』1、2の事件を政府や軍の上層部は把握しており、新たなプレデターが来たことに対してのうろたえはありません。今までのシリーズを観ている観客もプレデターのことは知っているわけで、「謎のモンスター」のように無駄に引っ張ったりはしません。これにより、今までと重複するような説明シーンを省き、いきなり物語が動き出します。イマイチな続編の場合、観客が既に知っている謎だけで1時間くらい引っ張ったりするかもしれませんが、この作品にはそれは無し。偶然プレデターのことを知ってしまった歴戦の軍人と、その口封じをしようとする軍。そしてプレデターの、大きく分けて3勢力で物語が進みます。

省略のテンポ感がお見事!

判断力や物分かりのいい人物が多く、ダラダラとしないのもこの作品の魅力です。主人公と行動を共にすることになる、心に傷を負って精神病院送りにされそうだった軍人たちの一団。彼らも、宇宙人を見たという主人公の主張を、出会った直後はバカにしますが、プレデターの姿を一瞬見てからはグダグダ言わずにその存在を認めます。敵味方の立場の切り替えも瞬時。さっきまで戦っていた相手と共闘できるとなると、すぐに共闘します。物語が停滞する場面は無く、どんどん先に進んでいきます。

場面場面をつなぐ、進行の省略もお見事。プレデターが自分の息子を狙っているということに気づいた主人公。普通ならそこから、プレデターより早く自宅に戻れるのか?というタイムリミットサスペンスが20分くらいありそうなものです。しかし、この作品は違う。移動シーンも何もかも省略。気づいたシーンの次のカットで、いきなり、かなり距離の離れていそうな自宅に既に辿り着いており、息子はどこに行ったんだ?と探し始めるのです。舞台が変わる瞬間の省略は全体的に凄いのですが、さすがにここのシーンの省略は驚きました。

基本的にプレデターとの戦いは殺し合いになりますし、軍は秘密を知ってしまった主人公たちの抹殺も辞さない姿勢なので人間同士も殺し合いの状況。モブ兵士などは一瞬でガンガン殺されスプラッタな絵面になります。しかし、陰惨な印象は残りません。主人公と行動を共にする、心に傷を負った軍人たちはリラックスした愉快な奴らで、常におもしろい軽口をたたきます。それにより、無駄のない無駄なユーモアが全編ただよい、いい塩梅の痛快娯楽作品となっています。地球人の存亡をかけたスケールの大きい話のなのに、なぜかご町内の事件かのようなまとまり感があるのもポイント。今年観た映画の中で、エンタメ感の感触が一番似ているのは、ジャンルは全く違いますが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』part1です!

戦闘宇宙人と軍人が戦うだけの純粋エンタメ映画ですが、おすすめです!

ザ・プレデター』のパンフレット

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フルカラー36ページ。キャストインタビュー、プロダクションノート、監督インタビューで10ページあり制作エピソードが充実。過去5作の解説もそれぞれ1ページあり。写真も充実しています。

 

www.foxmovies-jp.com

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