映画とかのおはなしブログ

映画、漫画、本、などの感想とかのやつ。  ツイッター@tenguotoko

2014年映画感想tweetまとめ&ベスト10

2014年当時のtwitter映画感想まとめ

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元は「〇〇なう」形式なので、箇条書き、監督名足すなどして整理。今の意見は足さず、当時のままを残す。観た全部の作品の感想を書いてるわけではない。()は観賞した映画館。

『Seventh Code』日本 監督:黒沢清 (テアトル梅田)

ゼロ年代のシリアス系深夜アニメみたいなことを実写でやっていて良かった。ネタバレ致命的なので気になる人はさっさと観た方がいい。この映画に限らないけどエンディング始まりで帰る人は本当に損してる。

『悪の法則』アメリカ 監督:リドリー・スコット (塚口サンサン劇場)

世の中では地獄の連鎖が永遠にぐるぐる廻っていて気付いたら巻き込まれてるみたいな怖いお話。1回観ただけでは把握できなかった。それにしても、見逃した映画を少し後に上映してくれるサンサン劇場はありがたい。

『劇場版 TIGER&BUNNY The Rising』日本 監督:米たにヨシトモ (梅田ブルク7)

1作目のように半分は総集編かと思いきやTV終了後の完全新作。メインキャラほとんどに見せ場があり、ファン向けの新作映画としてかなり良かった。海外ドラマみたいにずっと続いても面白いかも。

『愛の渦』 日本  監督:三浦大輔 (テアトル梅田)

いきなり裸でご対面した見知らぬ他人同士の会話や関係性の空気がめちゃ面白い。ちゃんとした映画なのにエロさも期待通りで、役者さん達の熱演に感謝すら感じた。

野のなななのか』 日本 監督:大林宣彦 (有楽町スバル座)

葬式に集まった親戚たちの人間模様という、それだけ聞くと地味な話なのだが、現在/過去/あの世/この世が畳み掛けるように進行する強烈な映画だった。

 『ガンダム Gのレコンギスタ』先行上映(第1話~第3話) 日本 監督:富野由悠季 (TOHOシネマズ日本橋)

∀以降の富野作品で目立つ「番組開始前から常に事件が進行し続けている」感じが今作もたまらない。登場キャラの雰囲気に朝アニメのような清潔感があった。宇宙世紀が終わってから1000年以上後という設定も驚き。

THE NEXT GENERATION パトレイバー 第4章』 日本 監督:押井守湯浅弘章 (ユナイテッド・シネマ豊洲)

ずっとこのまま無限に新作が公開され続けて欲しい。豊洲で観ると東京の埋め立て地の臨場感があり、つい帰りは銀座まで歩いてしまった。

 『TOKYO TRIBE』 日本 監督:園子温 (ユナイテッド・シネマ豊洲)

地獄でなぜ悪い」以上に娯楽映画に徹している感じ。悪い奴がいっぱい出てきて無茶苦茶暴れる。予告よりも実際はもっとぐちゃぐちゃで笑えます。

ザ・レイド GOKUDO』 インドネシア 監督:ギャレス・エバンス  (丸の内TOEI)

前作は超純粋アクションだったけど、今作は「個々の戦闘力がやたら高いアウトレイジ」という感じだった。日本ヤクザの戦闘シーンが無かったのが残念。

THE NEXT GENERATION パトレイバー  第6章』 日本 監督:田口清隆、湯浅弘章 (映画館の記録なし)

実写のレイバー戦あるわ真野恵里菜さんかわいいわで良かった。このまま永遠に新作が作られ続けてほしい

インターステラー』 アメリカ  監督:クリストファー・ノーラン (TOHOシネマズ 日本橋

いい意味で昔のSF映画みたいな雰囲気。序盤、現代より少し昔の話かと思わせて、荒廃した未来の地球の様子を見せていく演出が素敵。3時間寝なかった。

『日々ロック』 日本 監督:入江悠 (池袋シネマロサ)

愉快な仲間たちの中に普通に蛭子さんがいるのと、手にしてた生魚が時間の経過で干物になってるのは笑った。

『紙の月』 日本 監督:吉田大八 (丸ノ内ピカデリー)

横領実行から終わりまで続く緊張感に息を飲んだ。買い物中毒のおばあちゃんキャラが良い。

『天才スピヴェット 3D』  フランス・カナダ    監督:ジャン=ピエール・ジュネ  (シネスイッチ銀座)

ど田舎の天才少年がひとりで都会に行く話なんだけど、田舎~道中~都会まで、奥行きのある3D空間の透明感が良かった。

2014年映画館で観た新作31本からベスト10
⑩:Sventh Code
⑨:アナと雪の女王
⑧:TOKYO TRIBE
⑦:インターステラー
⑥:劇場版 テレクラキャノンボール2013
⑤:天才スピヴェット3D
④:悪の法則
③:THE NEXT GENERATION パトレイバー(第1章~第6章まで観た楽しさの合計)
②:愛の渦
①:野のなななのか

 

翌年

tenguotoko.hatenablog.com

 

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【映画感想】映画『海を駆ける』いい話ともホラーとも違う不思議な話

(2018年 日本 監督:深田晃司)

テアトル新宿で【音声字幕付きバリアフリー上映】を観賞。

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音声字幕付き映画上映

音声字幕付きの映画上映経験は初だったのでどんな印象になるのか分からなかったが、そもそも外国が舞台で登場人物の多くも外国人だったこともあり違和感なく観賞。

現代インドネシア。ある町の海辺に謎の男が漂流。男は心神喪失でおとなしくしている。記憶喪失のようで、おそらく日本人のようだということで、身元が判明するまでNPO法人で(おそらく2004年のスマトラ島沖地震以来)災害復興支援している日本人女性 貴子が世話をすることになる。貴子は息子タカシと二人で暮らしている。タカシは見た目日本人で家では日本語で会話もできるがインドネシア育ちで国籍も精神もインドネシア人。タカシの友人のインドネシア人男女二人と、日本から訪ねてきた親戚のサチコの4人の淡い交流がメインの筋として描かれる。

このように文章で説明すると複雑な基本設定だが、自然な導入でひっかかりなく観賞した。

外国を舞台にした日本映画

外国を舞台にした日本映画というと、大林宜彦監督『天国にいちばん近い島(84)』や富田克也監督『バンコクナイツ(17)』もそうだったが、日本人訪問者の目線からその国を映すことで、自分もその国に滞在しているような映画体験ができる。自分が感情移入したのは日本から来たサチコ。彼女が初めて見る視線でインドネシアの海岸や広がる田園などの自然を味わえた。そのゆるやかな異国の環境を楽しみつつ、4人の男女の言葉やマインドの差のディスコミュニケーションから起こる些細なすれ違いの青春ドラマは、かわいらしく癒される。

そこに混ざる異物

それだけでも素敵な作品だが、そこに混じる異物が冒頭の漂流してきた謎の男。男の身元の手がかりらしきものも少しは見つかってはくるのだが、やはり謎。ものすげえハンサムだし、おとなしくいい人のようなのだが、ささやかに常人離れした行動を見せる。この男の何度かの行動がこの作品の映画的アメイジング(今あらためて予告編を見てみると名場面が結構映っているが、予告の記憶をすっかり忘れて観た自分は非常に楽しんだので、既に観に行くのを決めている方は予告編を見ない方がより楽しめると思う)。男の存在により、映画の中にかすかにあった不穏さがじわりじわりと増していく。

海を駆ける』の不穏さ

深田晃司監督の前作『淵に立つ(16)』は日本映画によくある「家族映画」と思わせて非常に恐ろしいことになる強度の高い傑作ホラー映画だったが、『海を駆ける』の不穏さはいわゆるホラー的な恐怖とは違う感覚。良質な青春/紀行映画の中に突如現れるアメイジングさは現代の話なのに民話を聞いているかのような感覚。例えるなら『新耳袋』のような良質な実話怪談の中にたまに紛れる不思議な話に近い感覚か。心の傷が癒されるような爽やかさがありながらも、何か取り返しのつかない気持ちが残るような感覚が体験できる。なので良い邦画を探している方はぜひ観てください。

海を駆ける』のパンフレット

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28Pフルカラー。パンフレットそのものが「解説読本」と銘打っている例はかなり珍しい。監督と主演ディーン・フジオカさんのインタビューも含め、複数人による解説を記載。その名の通りページの大半を作品の解説が占めている。明確な答えがあったり単純なメッセージを台詞で語るような作品ではないので、色々な人の解釈が読めるのはパンフレットとして良い。 

umikake.jp

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【映画感想】『ピーターラビット』のここがツボ(ネタバレあり)

(2018年 アメリカ・オーストラリア・イギリス合作 監督:ウィル・グラック)

TOHOシネマズ日比谷で字幕版を観賞。

ネタバレありですが、そんなの関係ない作品です!

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ピーターラビット』は実際に観た方がいい

SNS上の多数の報告によって、実は激しいコメディだと知れ渡った映画『ピーターラビット』。

ですがこの映画の面白さ、色々あるので、観ずにネタとして消費するだけなのはもったいない!

①:ほのぼの動物映画かな?と思ってたら激しいスラップスティックコメディ!というギャップが面白い

②:では、ギャップ狙いの出オチ作品かというとそうではない。正統派ドタバタスラップスティックコメディとして普通に面白い。小学生の頃『ホームアローン』を純粋に楽しんでいた時のような気持ちになる瞬間もあった。

③:ピーター達が本当にそこに存在しているような、実写とCGアニメキャラクターの融合具合が素晴らしい。出来が良いので単に「実写映画」と認識してしまいがちだけど、「実写+アニメ映画」なんですよね!

これだけで普通以上に楽しい映画ですが、次が私のツボだった部分です。

ピーターラビットさん達のポジション

劇中で「服を着ておしゃべりする動物さんたち」として描かれるピーターラビットさんたち。その立ち位置が、映画を観てる間中、どうもずれていくのです。

最初はピーターの立場から描かれているので、「動物達から見たらお互いにおしゃべりできる」という『とっとこハム太郎』状態。ヒロインのビアは普通にピーター達と馴染んでいるので、この世界の田舎だけは「動物と人間が普通におしゃべりできる」『くまのプーさん』的世界観なのかな?と思いきや、後でロンドンに登場する紳士のネズミも喋ってる!(普通に2足歩行)。さらに、ビアさんは頭がお花畑な動物好きの人だったからむやみに動物に話しかけていただけで、ピーターラビットが爆弾のスイッチを押せるほどの知的生命体だという主人公の主張を信じません。

主人公の青年マクレガーは唯一、ピーターからの「駆逐してやる!」という悪意を察知。執拗なストーカー行為に気づき、殺し合い仲良くケンカするほどにコミュニケーションを取ります。この青年マクレガーは、都会での労働で心を病んだ青年と周りから見なされている。この状況だけで考えると、ピーター達はマクレガー&ビアのカップルだけに見えるイマジナリーフレンド(空想の友人)である可能性が浮上・・・

だがイマジナリーフレンドではない

いや待てよ、、

・最初におじいさんと殺し合いをしているのは確実

・終盤、家に新しく住もうとした人も動物集団からひどい嫌がらせを受ける

つまり、確実にピターラビットさんたち動物は存在している。しかも、ウサギという同一種族間のコミュニティではなく、「森の動物さんたち」全体がひとつの別の人類として生活している(『ズートピア』状態)。だが、マクレガー青年を除く全ての人間は単なる動物としか認識していない、または認識できない。

可能性①:映画『ピーターラビット』の本質は、マクレガー青年という「動物とお話ができるようになった能力者」を描いた超能力者モノだ!

可能性②:いや!映画『ピーターラビット』の本質は、『トレマーズ』のような、人類がまだ気づいていない侵略者の脅威に気づいてしまった人間が孤軍奮闘するモンスターパニック映画だったんだよ!(結末は侵略生物との和解)

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この映画を観ている間ずっと、そういうバカなことが思い浮かんでは消え、楽しかったですよ。

ピーターラビット』のパンフレット

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箔押しのオシャレな表紙。32ページのボリュームに写真多数。生身の俳優だけでなく主要CGキャラの声をあてている俳優もきちんと紹介。ピーターラビットの姉妹の声が『スターウォーズ』のレイや『スーサイド・スクワット』ハーレイ・クインだとは読むまで気づかなかった。監督インタビューや作品解説だけでなく、原作の紹介や、英国湖水地方の解説まで掲載されている良いパンフレットです。

 

映画『ピーターラビット』オフィシャルサイト | ソニー・ピクチャーズ

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【映画感想】『デッドプール2』エンタメ映画状況をナナメに横断する豊かなコメディ/ヒーロー映画

(2018年 アメリカ 監督:デヴィッド・リーチ)

TOHOシネマズ日比谷 IMAX2Dで観賞。

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 1作目以上に面白い!

1作目『デッドプール』は、規格外でありつつもヒーロー映画1作目として良質な作品だったが、今作は1作目以上に面白かった!

第4の壁を越え、自身や世界が映画/コミックであることが分かるだけでなく、様々な他の作品の内容も把握していることによるメタなギャグ。そして、不死身であることも活かしたブラックなギャグの畳みかけは、いい意味で調子に乗っており、超面白いコメディ映画となっている。

そうでありつつ、そのおふざけの行きつく先は人類愛。あらゆる差別を皮肉り、自分が何度も死ぬほど痛い目に合っても子供を助けようとする。こんなにふざけたおバカな内容なのに、普通のヒーロー映画以上にヒーロー映画してる。

前作では触れる程度だったX-MEXシリーズとの関連性だが、今作では合流に近い形で接近。人種差別問題をミュータントに置き換えて描く精神は完全に受け継いでおり。実質X-MENシリーズ最新作と言える。

だが本作の面白さはそれだけではない。後半の展開はもちろんだが、細かいギャグのオチ等も含め、ネタバレ危険な要素が実はかなり多い。最大限に楽しむために、気になっている人はSNSを閉じてすぐに観に行った方がいい。

アベンジャーズ』『レディ・プレイヤー1』と並ぶ最先端娯楽映画

2018年6月に入ったばかりの現在。GW前から続く映画公開状況の豊かすぎる洪水が止まらない。エンタメ系キャラクラー映画だけに絞っても、複数のヒーロー映画を共通の世界で展開し続けたMCUの10年分の総決算である『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』。そして、世界最高の映画監督の一人スピルバーグが映画/ゲーム/アニメ文化の膨大な蓄積を素材に正統派冒険SFを実写映画でもありながらCGアニメ映画でもある有り難い作品としてまとめてしまった『レディ・プレイヤー1』。どちらか1作があっただけでその年の顔となるくらい凄い映画。

どちらも、「10年分のシリーズ展開」や、「膨大な版権キャラクターの登場と文脈の引用」という過去の蓄積の元に成立している奇跡的な存在であり、もはやエンタメキャラクター映画でそれに追いつくような作品は難しいだろうと思っていたら、また最先端映画が出た!という感じ。

ネタバレ避けるため具体的には書かないが、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』がタテの蓄積、『レディ・プレイヤー1』がヨコの蓄積によるエンタメ映画の最先端としたら、『デッドプール2』はナナメに横断した最先端という感じだろうか。

観賞後には幸せな爽快感のある余韻が止まらなかった。続けて他の映画も観る予定だったが今日は帰宅することに。予想以上に面白かった。

 『デッドプール2』のパンフレット

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ライアン・レイノルズをはじめとする主演俳優インタビューや各種設定・状況の解説だけでなく、光岡三ツ子(アメコミ・ライター)、杉山すぴ豊(アメキャラ系ライター)、柳 亨英(アメコミ・エディター)によるコラムも掲載。ムック寄りに充実している良いパンフレット。もしかしたら『シェイプ・オブ・ウォーター』や『スリー・ビルボード』のパンフ「FOXサーチライト・マガジン」シリーズのクオリティを目指しているのかも。

 

映画『デッドプール2』公式サイト

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【映画感想】『レザーフェイス 悪魔のいけにえ』想像とは違う趣き(ネタバレあり)

(2017年 アメリカ 監督:ジュリアン・モーリー / アレクサンドル・バスティロ)

ネタバレあり。

映画の構造上仕方ないので、気になる人は画面を閉じて観に行ってください。

 ホラー映画の続編を観るということ

名作ホラー映画の続編/リブート/シリーズ物を、そうだと分かって観に行く。その場合、そもそもそんなに期待しないというか、「だいたいこんな焼き直し具合じゃないかな?」と予想して臨むことになります。既に続編もリブートもある『悪魔のいけにえ』の過去編として打ち出された今作も、ポスターのメインビジュアルを見ると、なんとなく内容が予想できそう。

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<予想>

例の場所に例の家族が若い状態でいて、ポスタービジュアルの5歳児レザーフェイスが凶悪なモンスターとして襲ってくる。1作目を薄めたようなだいたい同じような話。どこか見所があったらいいなー

 

今作はまずその通りに始まります。

見覚えのある道を通るカップルが不気味な少年に遭遇し、頭のおかしい一家に襲われる。

 

だがそれはプロローグでしかないのです。

想像と全く違う展開

年月が経過し、レザーフェイス君が収監されているらしい精神病院からお話がスタート。ここから映画の趣きが数回変化します。

閉鎖的な精神病院を舞台にしたサスペンススリラー&ちょい人情ドラマ?

車で逃亡する犯罪者カップルと一行、みたいなアメリカン・ニューシネマ的映画?

きちんとしたスプラッタ描写は常にありますが、いわゆる「恐怖」を目的にしたホラー映画とは別ジャンルの映画みたいになっている時間の方が長いです。観客目線では「この中の誰がレザーフェイスなのか?やっぱこいつか?」という軽いサスペンス要素もあります。少しずつジャンルを横断していくのが、この作品の面白さかもしれません。

最終盤にはまた趣きが変わり、取って付けたように「悪魔のいけにえ」の再現のような展開になります。

 1作目が生まれた映画状況そのものを描いた映画か

本家『悪魔のいけにえ(74)』が生み出した「田舎ホラー」的なジャンルは、例えば『イージー・ライダー(69)』みたいなアメリカン・ニューシネマで、奔放な若者が自由を選んだ結果、人知れず他者に襲われて命を落とす、的な王道展開をひねった先にあるとも言えます。

 物語としてはレザーフェイス誕生話ですが、この作品はアメリカン・ニューシネマの先に『悪魔のいけにえ』という作品が生まれたことそのものを描いた映画なのかもしれません。

レザーフェイス 悪魔のいけにえ』のパンフレット

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フルカラー。ページ数は16ページと薄いが、主要キャストのコメント、高橋ヨシキのレビュー、作品解説だけでなく「悪魔のいけにえ」シリーズの解説もあり、小品にしては充実した内容。各ページの下端には「悪魔のいけにえ トリビア」も掲載。

 

映画「LEATHER FACE レザーフェイス - 悪魔のいけにえ -」オフィシャルサイト|なぜ、少年は怪物になったのか? 人が覚醒・変貌する瞬間を目撃する―

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【映画感想】『ランペイジ 巨獣大乱闘』-お元気な面白映画

(2018年 アメリカ 監督:ブラッド・ペイトン) T・ジョイPRINCE品川   IMAX3D字幕で観賞。

完全ネタバレあり感想ですが、ネタバレとか意味ない、お元気映画です。

それでもネタバレが気になる方は画面を閉じてすぐ観に行けばいいと思います。

おバカ映画ファンは絶対行った方がいいでしょう。

 ポスターにワクワク

怪獣映画のポスターとして100万点な日本版ポスターにもワクワクしながら観に行きました。

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 <おはなし>

お金儲けをたくらむ悪い会社のデカデカ菌みたいなのが漏れて感染したゴリラ!狼!ワニ!のフレンズがドッタンバッタン大騒ぎ。

 

というのは間違いではありませんが、「3体のモンスターが暴れる」、これだけではこの作品の面白の半分しか表現できていません。実は4体目のモンスターがおります。

 

日本版以外のポスターには登場しております。

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彼が4体目のモンスターです。

今作のロック様。登場シーンがジャングルなこと/細かい経歴は不明なことを考えても『ジュマンジ ウェルカムトゥジャングル』のゲームから抜け出てきた特別な存在と考えても間違いはないでしょう。

 今作のロック様は、ゴリラと普通にお喋りができる心優しきマッチョです。飛行機が墜落しても脱出、銃で撃たれても急所を外れていれば大丈夫、ビルが倒壊しても死なない、というB級アクション映画主人公のお手本のような異能生存体ぶりを発揮します。

 最初は普通に面白く、後半おかしみが加速

ランペイジ』前半は普通に面白いB級娯楽映画です。研究を行っていた人工衛星内の事故という『ライフ(2017)』オマージュからスタート。「俺たちはTVの洋画劇場で放送されてるような面白ジャンル映画を作るぜ!」とでもいうようなメッセージが(勝手に)伝わってきます。

心優しきロック様と徐々に巨大化しつつあるゴリラの程よくいい感じな交流。別の場所では、そもそもが狼なので巨大化した結果人をバクバク食べていく狼モンスター。ワニ怪獣は出し惜しみされますがこいつだけは怪獣という感じで、ちょっとだけ顔出すシーンもいい感じです。

 

悪者が特殊電波を発した結果、3大モンスターは引き寄せられて集まってきます。

ゴリラと狼は何故か仲良く一緒に追いかけっこをしながら町を破壊していきます。

 

後半、ワニ怪獣が本格登場。川から都市へ上陸する感じは『シン・ゴジラ』の蒲田君っぽく、通常兵器が効かない!などのくだりも含め、この辺りだけ瞬間的にシン・ゴジラのオマージュのような趣があり、少し嬉しいです。

 

3大モンスター&主要人物が一つの都市に集合したあたりから、なんかヘンな感じが加速していきます。

 

・3体が原作ゲーム再現で超巨大ビルをゆっくりとよじよじ!(かわいい)

www.youtube.com

・ビルの屋上のアンテナから特殊電波を出してモンスターを集めたのは自分たちなのに対策が無い悪人

・主人公サイドなのに悪い人間を食べちゃうゴリラ!※必殺技シーンみたいにいい感じに描かれる。※おとがめなし

・倒壊する超巨大ビル!

・ビルが倒壊しても無事だったロック様! ※他の人もほとんど無事

そのままの自然な流れで、3大モンスターの戦いの渦中に、ロック様が生身でお元気に殴り込んでいくところがこの映画の最高潮です。

 

街が結構崩壊してるよなー。とか、人がいっぱい死んだなーとか、ゴリラそのまま!?とか、課題を一切放置したまま、まるでいい話かのように〆るのは本当に面白く、映画館からの帰り道も面白みの脳内麻薬がじわじわと増幅していました。

 

下の2つの絵を交互に眺めるだけで楽しさが無限に湧いてきます。

 

「やめろ!彼を撃つな!」と止めようとする序盤のロック様。

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最高のバディ感を出す終盤のふたり

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楽しい

 

映画『ランペイジ 巨獣大乱闘』オフィシャルサイト

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スーパーロボット大戦X(スパロボX)1周クリア直後ざっくり感想

スパロボXを1か月強かけてようやくクリアしたので感想

twitter投稿だと「天元突破グレンラガン強い!」「Gアルケイン弱い!いや、強化パーツ エクストラアームズをつけたら強い!」みたいな瞬間の感想だけになりがちなので、全体的な感想のまとめ。まだ買うの迷っている方の参考になればと思い書きます。

 

クリア時点の撃墜数ランキング。G-セルフは最優先で強化・使用したけど他は無意識。

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 面白い? 

ネットの雰囲気としては盛り上がっていない感はあるが、面白い。

シミュレーションRPGのゲーム性としては難易度選択の幅が広いので、自分が好きな難易度を選べば誰でも楽しめる。(ちなみに「ノーマル」では、今までの基準からしても敵がかなり弱い)

だがスパロボの真の楽しさは、単なる「ゲーム性」部分ではなく、別々のロボットが集まって一つの話を展開しながら、シミュレーションRPG部分では自分の好きなロボットを贔屓して活躍させることができる「夢のキャラゲー」「夢実現装置」の部分にある。

動画サイトで戦闘デモを見ると内容を全部分かったような気になってしまう。けど、それはもったいない。スパロボは「この物語の状況で、この敵ロボットをこの味方ロボットで迎え撃つ!」みたいな自分ならではの夢の組み合わせを繰り広げていくことがキモ(戦闘デモはその実現)。なので、動画サイトで戦闘デモを全部見ても面白さを味わえているとは全然言えないのです。

 

本作でも、各作品の特徴を絡めた面白いシナリオが展開。

コメディであるワタルもバッチリ絡む。

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新規参戦のロボットアニメ『魔神英雄伝ワタル』『バディ・コンプレックス』『ガンダム Gのレコンギスタ』はメインの扱い。今そんなゲームは他に無いのだから、各作品のファンは買った方がいい。

『Gレコ』は主要な敵キャラの大半を最終的に味方にすることが可能。さらに宇宙世紀MS/パイロットとの乗り換え可能なので遊び方の組み合わせは多種多様。GレコのMSは無改造ではイマイチに見える機体が多いが、手を加えたり乗せるパイロットを工夫したりして運用方法を見つけると「移動後射程11の有線ファンネルを連発するトリニティ搭乗アイーダ(専用セリフ有り)」といったように、飛び抜けた性能を発揮したりする。(Gレコ本編でもMSパイロットのプロフェッショナルが少なく、機体性能の把握が手探りっぽいことの表現?)

ロボットアニメではない『ふしぎの海のナディア』は、味方機が修理ユニット扱いのグラタンと戦艦であるN-ノーチラス号(超強い)だけという変わった参加だが、いるだけ参戦ではなく、キャラクター/物語共にストーリーに関わる。主人公であるジャン&ナディアは一切戦闘せず、どちらかというとネモ船長メインというスパロボならではの関わり方はそれ自体が面白い。

 特にプレイしてほしい人とその理由

スパロボはわりと好きなのに、ここ数年発売した新作をなんとなくやってない人にとってはかなり面白いはず。αシリーズやIMPACT以降やってない人。Zシリーズを途中で脱落したような人にはぜひ遊んでほしい。

というのも、基本的には面白いスパロボXの中に時々紛れ込んだつまらなさは、連続登場作品の繰り返しによる飽きによるものだから。

スパロボシリーズをずっとプレイしている人には分かるが、スパロボと一口に言っても実はシナリオの面白さやゲーム性の調整がかなり異なり、名作から残念な作品まで色々ある。今作は傑作とは言えないまでも、普通に面白い。

プレイ中、退屈になる瞬間は何度かあったが、その原因は自分が新作の版権スパロボをほとんど全部プレイしていることによる既視感によるもの。

前作「スパロボV」から連続登場のマイトガイン/クロスアンジュや、「第3次スパロボZ 時獄篇/天獄」にも登場したコードギアス/グレンラガンなど、いくつかの作品周りのシナリオ展開もしくは戦闘演出に既視感があり、「パンダだー!」「もう見た」状態になってしまっている。

www.nicovideo.jp

 近年の名作スパロボ

近年の名作級スパロボでは、連続登場作品と新規作品を絡めて昇華する工夫が色々あった。よく話題になる例を挙げれば、スパロボUX(3DS)では、ガンダムSEED DESTINYのMSを蒼穹のファフナー対フェストゥム専用兵器という設定に。スパロボBX(3DS)では、人間サイズのSDガンダムなのでリアルガンダムとは関わらない可能性もあった騎士ガンダム三種の神器・炎の剣/力の盾/霞の鎧が、それぞれ ダブルオー/ユニコーン/AGEの3つのリアルガンダムに対応して宿っていたという謎の熱い展開が。そのようなシナリオや演出の工夫が登場作品ほとんどに施されていた。

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 今作でも、ガンダム周りのシナリオなどは力が入っている。リギルド・センチュリー宇宙世紀の遥か未来であるGのレコンギスタの時代)でも人類が戦争していると知り宇宙世紀キャラクターが戸惑うという、なかなか面白い展開。だがそれ以外の連続参戦作品は、近作の「V」「Zシリーズ」で一度以上あったような展開に見えてしまうことが時々あり、そこは飽きに繋がっている。

 

でも、それは「スパロボを毎回やってるから」。やりすぎです。

つまらない部分はそこだけなので、スパロボ好きを自覚しているけど、いつの間にか新作を買わなくなってしまった人にこそ遊んでほしい!

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