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映画感想『死霊館のシスター【ScreenX上映】』怖がらせ特化型エンタメホラー

2018年 アメリカ 監督:コリン・ハーディ (ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場)

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スピンオフだがシリーズ未見でも問題なし

死霊館』シリーズは、昔と比べて洋画も邦画も大作ホラー映画がほとんど絶滅してしまった中で続いている、ありがた~い正統派の心霊/悪魔ホラー映画シリーズ。これまで第1作『死霊館(2013)』、初のスピンオフ『アナベル 死霊館の人形(2014)』、本筋2作目にして名作『死霊館 エンフィールド事件(2016)』、『アナベル 死霊人形の誕生(2017)』と続き、本作はスピンオフ3作目/シリーズ5作目となる作品です。今回のメインとなる怪異は『エンフィールド事件』の中で急に出てきて本当に怖かった謎のシスター。シリーズそれぞれの作品は設定で繋がってはいますが、その繋がりは、何回か見直している人ならニヤリとできる程度。それぞれ個別の映画作品として完結しています。特に今回は時代も『死霊館』から20年くらい前、舞台もルーマニアと全然違う場所になっており、今作から見て全く問題ありません。私は過去シリーズ全作1回ずつだけ観ていますが、細かい部分は全く覚えていません。それでも普通に1本のホラー作品として楽しめました。

とにかく怖がらせてくる

 1952年ルーマニア。山奥の古い修道院で謎のシスター自殺事件が発生。調査員として、神父さんと共に一人の見習いシスターがなぜが選ばれます。修道院が、かなり山奥にあるということで、地元のガイド青年をひとり雇い、3人は事件のあった修道院に向かいます。

この作品のいさぎよさは、とにかく娯楽映画としてのホラーに特化している点。序盤こそ、修道院に向かって田舎町を進む旅が叙情的に描かれます。ですが、修道院に到着してからはもうドラマ展開はほとんどなし!。本家の『エンフィールド事件』が、物語や映画としての深みも持っていたのと比べると、最初からそういう「立派な映画」を作ることを目標にしていません。3人の訪問者に対し、不気味な悪魔シスターが、手を変え品を変え、執拗に恐怖攻撃(怖がらせ)をしかけてきます。もはやそれだけに徹底しており、「登場人物がひとりになったら10秒で怖がらせ」「イヤな暗闇があったらすぐ怖がらせ」「怪しい人物がいたら即怖がらせ」、後ろから横から、時にフェイントをからめ、様々な手段で観客を怖がらせてくれます。エンタメとして単純に怖い映画が見てみたい人にオススメです。

死霊館のシスター』ScreenX効果

ScreenXは、東京ならユナイテッド・シネマ アクアシティお台場など、ごく一部の劇場でのみ導入された新しいスクリーン方式。通常の正面スクリーンだけでなく、スクリーン左右の壁もスクリーンになっており、ここぞという場面で視界が左右に広がる画期的な上映方式です。

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今作はおそらく、日本でのScreenX公開作品としては『新感染ファイナル・エクスプレス』に続く2本目のホラー映画。ScreenXは、常に3面スクリーンで上映されるのではなく、作品が盛り上がるシーンでバーンと視界が広がります。修道院に到着して以降、怖がらせの乱れ打ちが続く今作では、やはりここぞという大仕掛けの怖がらせシーンにおいて「どうじゃ~!」とばかりに3面スクリーンになります。ホラー映画ファンとしては、このScreenX効果でホラー映画としての怖さがどうなるかに関心がありました。

体験してみてわかったのは、今作のScreenXでは、恐怖表現を増幅するというよりも、恐怖体験をした登場人物たちの混乱(めまいを感じるような気持ち)を増幅しているという感じ。というのも、通常上映を行っている以上、恐怖演出のメインは正面スクリーンに集約されています。不気味な墓地や修道院のヤバい通路などに自分がいるような臨場感は確かに広がりますが、怖さを強調するというよりも、万華鏡をのぞいているようなめまい感が強調されました。なかなか未体験な感じではありましたが、気持ちが3面に分散する分、恐怖も分散してしまう感じもありました。上映作品の性質にもよると思いますが、今作で純粋に恐怖を堪能するには、IMAXや通常上映の方が向いているかもしれません。

死霊館のシスター』のパンフレット

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カラーページとモノクロページが見開き毎に交互に展開する24ページ。監督インタビュー3ページ。プロダクションノート3ページの他、サンディエゴコミコンのレポート、『死霊館』ユニバースの解説、悪魔学作家 草野巧さんによる解説、「もし絶叫上映を行ったら?」をV8Jの方に妄想してもらう記事など、なかなかバリエーションに富んだ内容。シスター役の俳優さんが本家『死霊館』主演俳優さんの実の妹だったのはパンフ読まなければ分かりませんでした。

映画『死霊館のシスター』公式サイト

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