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2017年映画感想ツイートまとめ その5 (9月分27本くらい)

前回 2017年映画感想ツイートまとめ その4(7月8月分 47本くらい) - 映画とかのおはなしブログ

元は「〇〇なう」形式なので整理。当時の感情こそが貴重なので、今の意見は足さず、当時のまま残す。観た作品全部の感想を書いているわけではない。()は観賞した映画館orメディア。新文芸坐で大林宜彦特集上映という神イベントがあったので、月の半分くらい池袋に通ってたイメージ。新作も年間ベスト5クラスに面白い作品が何本もあって大変!

異人たちとの夏』(1988年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林宜彦映画祭)

子供の頃亡くなった両親の幽霊との交流。だけなら夢か幻かだが、それとは別のガチな王道怪談が同時進行していたことが分かり、感動も恐怖も強化される複雑な感情の映画。浅草が幻想的。自宅マンションの外観が三途の川みたいな謎の威圧感。

『可愛い悪魔』(1982年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林彦映画祭)

TV番組だが、スクリーンで観ると完全に映画。火サスなので、筋書は児童サイコキラーのサスペンスドラマだが、過剰な描写と、いかがわしい人物により、白黒の洋古典ホラーと70年代イタリアホラーが日本の田舎で同居してるような異常なカルトホラー映画に!

青春デンデケデケデケ』(1992年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林彦映画祭)

以前DVDで観た際は普通だったのだが、劇場で観ると映画の魔法かかり大化け!ラジオから流れるベンチャーズで目覚めた瞬間からの、楽しく誇り高い青春の記憶そのものを走馬灯のように体験!自分の魂が頭を離れ映画の中にいた瞬間が確かにあった!

『はるか、ノスタルジィ』(1993年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林宜彦映画祭)

石田ひかりさんにガチ恋した監督がストッパー外す私小説。母/娘/その娘の三世代全てを演じる、世界一可愛く撮られた19才の石田ひかりと、中年作家との無限の一方的恋愛を作品に閉じ込めてしまっている。激ヤバな真のアイドル映画。

『恋人よ われに帰れ LOVER COMEBACK TO ME』(1983年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林宜彦映画祭)

大林監督の貴重なTVドラマ。日系人の米兵が終戦直後の広島で姉を探す中、原爆被害や闇市の混沌を目にする。戦後を直接描いた真っ当なメロドラマ。今観ると「この世界の片隅に」から地続きにしか見えない!

『麗猫伝説』(1983年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林宜彦映画祭)

瀬戸内の孤島で引退したスター女優と、映画監督の妄念。火サスだがサスペンス作品ではなく、怪奇モノにも見えるがホラーでもなく、映画の呪いみたいな映画。劇場での観賞は初だが、「恋人よ われに帰れ」から続けて観ると、続編に見える作りだったとは!

『理由』(2004年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林宜彦映画祭)

高層マンションで殺人事件。目撃者の証言から事件を追っていくうちに、証言は紐づる式に日本中の107人分にも及んでしまう。DVDで観た時は、過剰な情報量で集中が続かずよく分からなかったが、映画館で観ると印象違う。日本社会の歪みと、人の絆の希望も描く傑作!

新感染 ファイナル・エクスプレス(字幕)』 韓国 監督:ヨン・サンホ (新宿ピカデリー)

父と娘が乗った特急がゾンビパニック。設定はオーソドックスなのに鉄道を活かした面白い状況。行動力ある濃ゆい人物達。利己的でなく利他的であれ!というメッセージを終始貫く胸熱なドラマ。これはゾンビ映画史に記録される快作!

ねらわれた学園』(1981年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林宜彦映画祭)

映画館観賞は初。漫画みたいな学園生活(誉め言葉)が、漫画みたいな悪役(誉め言葉)に狙われるお話を実写でやるという、先駆者過ぎるラノベ映画。新宿高層ビル群と星(奇跡)のイメージは35年後「君の名は。」にまで伝わってるなという感触。

ちなみに、『新感染 ファイナル・エクスプレス』の後に続けて観たのだが、伝えたいメッセージが「自分の為ではなく他人の為に行動しなさい」という全く同じメッセージだった。

トリガール!』監督:英勉 (池袋シネマ・ロサ)

イケメン先輩に釣られて鳥人間コンテストに捧げる青春。典型的な部活映画やスイーツ恋愛映画へ行きそうな軌道を、すぐさまずらしていくユーモア。他で味わったことがない位さわやかな快活さで楽し~いスポコン青春コメディ映画。主演の土屋太鳳さんは優勝!面白い!

散歩する侵略者』監督:黒沢清 (渋谷シネパレス)

夫の様子がおかしくなった妻。ヘンな若者と同行するライター。本当におそろしい侵略を描いた正統SFだが、概念を共有せぬ異者とのやり取りは無性に楽しく、ラブストーリーとしても震える。黒沢清映画と大衆向けエンタメ大作映画の両立ついに!の名作!

『女ざかり』(1994年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林宜彦映画祭)

全国紙論説委員になった聡明な女性が書いた社説の影響で、新聞社によく分からん圧力が…。大人恋愛映画は表の顔。雑談から政治まで、忖度で物事が動いていく様が緊迫超絶テンポで描かれる、のに、ほぼコメディ(!)。今こそ理解可能、深刻なジャーナリズム映画の傑作。

『HiGH&LOW THE MOVIE 2 / END OF SKY【応援上映】』監督:久保茂昭、中茎強 (新宿ピカデリー)

シリーズの劇場観賞自体初。既に10勢力くらいいるのに、更に続々参戦する新勢力。&急に出る新キャラを含む大量登場人物達への「だれ〜?」等のツッコミをみんなが叫ぶのが面白おかしい。アクション凄く唖然!

次々場面が切り替わる味方勢力と敵勢力。情報量多くテンポ速いがあさってに進むお話。強引なナレーション。大量の愛すべきキャラ。伏線なく急に参戦する新キャラ。急にいる仲間。抜けたとこあるが皆の信頼絶大のリーダー。HiGH&LOWの面白さは、トランスフォーマーTV1作目の面白さに通じる説。

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『野ゆき山ゆき海べゆき<カラー版>』(1986年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林宜彦映画祭)

戦前の日本。他の子供より少し賢いお坊ちゃんが、町の日常を見つめる。子供のケンカが次第に暴力にエスカレートしていくが、背景の日本も本当にいつの間にか戦争に突入している。それでも、その空気に対してわんぱくに抗う意志は残すぞ、みたいな映画。

『エル ELLE』監督: ポール・バーホーベン (TOHOシネマズシャンテ)

ある女性の、これ以上無いと思える程あらゆる辛い出来事が底抜けに続く日常。宣伝されているような女性リベンジ映画でもミステリーでもない。辛い人へ希望の糸を投げる映画。

ダンケルクIMAX 2D】』 監督:クリストファー・ノーラン (T-JOY品川)

イギリス軍が海峡を越えて撤退しようとする。浜辺の兵士/船で救出に行く民間人/戦闘機パイロット の3つの立場で進行。砂浜から遠くの先まで見える、静かな広さの表現が魅力的。英国人には高貴な勇気が皆に備わってるのでございます、的な感じ。

蛇の道』(1998年) 監督:黒沢清 (新文芸坐)

娘を無残に殺された香川照之の復讐に協力する哀川翔。ヤクザVシネを装いながら、実際はバイオレンスサイコサスペンスという驚くべき映画。香川さんのヤバイ人お芝居が既に凄かった!

蜘蛛の瞳(1998年) 監督:黒沢清 (新文芸坐)

劇場観賞は初。蛇の道の2だが、別のジャンルになっている。久々に会った友人の仕事を手伝うことにした男が、続けるうちにいつの間にか組の奇妙な抗争に巻き込まれる。終末系SFかのような絵面の中で、ドライで変な殺しが続き神経ヒリヒリ。実態はなんと「心霊ヤクザ映画」!

ワンダーウーマン[IMAX3D・字幕]』監督:パティ・ジェンキンス (109シネマズ木場)

ガル・ガドットさん演じるダイアナはメチャ魅力的だし、コテコテのスーパーヒーローが戦争の最前線で戦うという絵面は興奮。だけど、展開が全体的に雑!島編の前半と戦争にざっくりと参加する後半で別の作品のようなツギハギ感がある。

ワンダーウーマンの一族の島は、霧で見えないだけで誰でも普通に入れそうな感じ。戦場で無敵の強さだったけど、普通に強いので島での犠牲者が無駄死にに思える。ラスボスは存在してるのかいないのか分からず、その要素は良かったのに、自分から正体と目的と隠れ設定をバラしに来て返り討ちに合うポンコツ

エイリアン:コヴェナント【MX4D字幕】』監督:リドリー・スコット (TOHOシネマズ六本木)

途中までプロメテウスの繰り返しに見えるが、ちゃんとしたホラーSF映画になる。だがどう良いか説明するだけでネタバレになる!MX4Dには非常にマッチしていて大正解。宇宙船のライド感!地下のヘンな匂い!吹き出る流血!

『三度目の殺人』監督:是枝裕和 (TOHOシネマズスカラ座)

何の変哲もない殺人容疑者の担当になった弁護士。だが容疑者は煙に巻く供述。こいつはサイコキラーか?司法の被害者なのか?自己犠牲の聖人か?分からない。役所広司さんの最強の力がいきなり全開放。スリリングで誠実で強い司法サスペンス映画の傑作。

観る人の願望によって見え方が違うであろう「器」のような作品なのですが、私にはこの前観直したばかりの黒沢清『CURE(97)』の続編のようにも見えました。

『ダーク・ハーフ』(1993年) 監督:ジョージ・A・ロメロ (新文芸坐)

俗悪娯楽小説を架空の作家ジョージとして執筆していた男の周辺で猟奇殺人。雀の大群飛び狂うオカルト映画から、スラッシャーや警察無能系ミステリーにも揺れつつ、自己と対決する映画。恐怖映画ではないホラー。

『モンキー・シャイン』(1988年) 監督:ジョージ・A・ロメロ (新文芸坐)

事故で半身不随の男。助けになればと、友人の科学者が連れてきた、人間並の知能を持つ改造猿。良いヘルパーペットになるが共感力も高く、男の憎悪をも感じて実行!本物の猿の存在感。動物ホラーのようでいて、本質は家族が殺し合う厭な映画か。

プラネタリウム』監督:レベッカ・ズロトブスキ (新宿バルト9)

少女霊媒師&マネージャーという美人すぎる姉妹ユニットに注目した映画プロデューサーが、彼女ら主演に映画を撮影。話の行方が分からぬ中、水面下で酷い邪悪が起きてるかのような不安な疑惑心を生じさせる。この感情自体が心霊的のような、高度な心霊サスペンス映画。

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『軽蔑(デジタルリマスター版)』(1963年) 監督:ジャン=リュック・ゴダール (恵比寿ガーデンシネマ)

劇場観賞は初。超ド級美人の妻のいる夫が、妻とのあらゆる会話と行動において、ギャルゲーで言うところの好感度の下がる選択肢を、天才的に笑えるほどに選び続ける。萌えハーレムラノベ的なものの真逆を行くようなコメディ。

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『幽幻道士 キョンシーズ【応援上映】』(1986年) 監督:趙中興(チャオ・ツォンシン)(新文芸坐)

初見。モンスター中華オカルトカンフーアクションで、スクリューボールコメディという、今では存在しないような娯楽映画。話運びは普通に良く出来ていて、不謹慎さも具合よく、ずう〜っとふざけている。冒頭から最後まで永遠に面白かった!

少年ケニヤ』(1984年) 監督:大林宜彦 (新文芸坐 大林AN)

大林監督唯一の、子供向け長編アニメ映画。絵柄がポスターカラー風/白黒のペン画挿絵風/TVまんが絵/動く水彩画/等に次々変化。スクリーンで初めて分かる美しさと迫力。素朴に始まるのだが、リアリティラインを跳躍して認知が歪む瞬間が数回あった。危険なカルト映画。

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この月を振り返ると、新作も旧作も傑作ばかりだったという印象。新文芸坐の大林宜彦特集では、大林作品はTVモニターではなく劇場のスクリーンで観ると面白さが段違いになることが体感できました。大林監督ご本人をお見かけしたのも素晴しい出来事でした。

【次回】 2017年映画感想ツイートまとめ その6 (10月分 21本くらい) - 映画とかのおはなしブログ