映画とかのおはなしブログ

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2016年映画感想tweetまとめ(後編 下半期およそ90本)&2016年ベスト

前編はこちら 2016年映画感想tweetまとめ(前編)&上半期ベスト - 映画とかのおはなしブログ

元は「〇〇なう」形式なので整理。当時の感情こそが貴重なので、今の意見は足さず、当時のまま残す。観た作品全部の感想を書いているわけではない。()は観賞した映画館orメディア。この時期から、『シン・ゴジラ』観た影響で頭おかしくなって映画中毒になってしまい、半年間に感想を書いた映画だけで90本近くある。

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 『知らない町』 日本 監督:大内伸悟 (シアター・イメージフォーラム)

いわくつきらしきソファにまつわる心霊映画だが、ホラーではない不安で奇妙な物語。豊島区界隈が、この世とあの世の境目に見えてくる。厚かましいプチクズ友人役 松浦祐谷さんの芝居が印象に残る。

『コップ・カー』 アメリカ 監督:ジョン・ワッツ  (下高井戸シネマ)

郊外に家出のつもりの悪ガキ2人。パトカーが捨てられてたんで乗りまわしてみたら、犯罪実行中の殺人保安官の車だった! 面白いアメリカンニューシネマ的 ザ・映画でありながらキッズ道徳モノでもある。

『貞子VS伽椰子』 日本 監督:白石晃司 (TOHOシネマズ日本橋) 

2回目の観賞。1回目はMX4Dで通常は初。お客さんはそこそこ入っていて森繁先生中心に色々なシーンで笑いが起きていた。あらためて観ると、経蔵・珠緒はもちろんのこと、有里と夏美の両方ボケみたいなコンビもかなり魅力的。今後の他の作品にも出てきてほしい。

機動戦士ガンダム サンダーボルト DECEMBER SKY』 日本 監督:松尾衡 
(TOHOシネマズ日本橋)

嬉しいMS戦アクションと、クサいドラマを楽しむ純粋プログラムピクチャー。初代ガンダム終盤にあったみんなが大好きなガンダム要素を抽出し最新のロボットアニメとして見せつけてくれる。平日夜の日本橋だったからか、客席の大半が年上で、白髪や髪の薄い40~50代の部長副部長クラスサラリーマン男性ばかりだったのは仰天。今年これまでに映画館で観た56作の中で『さざなみ』の次にお年寄り度が高いぞ!

『スクリーム・ガールズ 最後の絶叫』 アメリカ・カナダ合作  監督:ニック・サイモン (シネマート新宿)

正統派スラッシャー映画。だが、色白ストーカー青年とレザーフェイス系大男の殺人鬼コンビが途中から普通に素顔で出てくるなどバランスが独特。各キャラが魅力的なのにそれほど見せ場は無い。

『葛城事件』 日本 監督:赤堀雅秋 (T・ジョイPRINCE品川)

通り魔の青年を生み出してしまった一つの家族の終わる様を描く。一家の大黒柱のような、時代遅れの価値観のままな父親の一挙一動が全て周りへの悪影響となる。日本のどんな家族もいつ葛城家になってもおかしくない感じがしてゾッとした。日本人全員が観ればいいと思う。

死霊館 エンフィールド事件』 アメリカ 監督:ジェームズ・ワン (新宿ピカデリー)

正統派の幽霊屋敷/エクソシスト映画。小舞台ながら、遠慮せず次々起こるポルターガイスト現象/お化け登場で驚かせてくれる。事実を元にしていることにより、観賞後に独特のイヤな感じがうっすら残るのもいい。取り憑かれる主演の女の子がかわいい。

メイズ・ランナー2: 砂漠の迷宮』 アメリカ 監督:ウェス・ボール (レンタルDVD)

謎の巨大迷路から抜けた先は、たまにゾンビも出るライトなマッドマックス的世界だった!砂漠の迷宮なんて無かったし、比喩だとしても砂漠自体は普通に通行してた!メイズ要素無し!3もやるの!

エクス・マキナ』 イギリス 監督:アレックス・ガーランド (新宿シネマカリテ)

世界的検索エンジン創始者が行う試験に選ばれ、立ち会うことになった青年。高度なアンドロイドと人間に差はあるのかという王道テーマで、実は怖いSF映画アリシア・ヴィキャンデル演じるロボット娘が美しい。

『ロスト・バケーション』 アメリカ 監督:ジャウム・コレット=セラ (TOHOシネマズ新宿)

サメのいる海で一人取り残される!これは絶対助からんだろという状況でハラハラ興奮! 深夜系C級サメ映画ではなく、面白く上品なサバイバル映画の名作。痛そうな描写が強く、思わず声が出そうになる。

ホーンテッド・キャンパス』 日本 監督:竹本聡志 (MOVIX昭島)

ホラーエッセンスの少し混ざった女の子向け学園ラブコメ青春映画だが、ラブコメとしては薄味。むしろ、二つ起こる心霊事件部分の方が怪談寄りで怨み感情のガチ度が少し高い。TVドラマシリーズで観たいかも。世にも珍しい壁ドン告白除霊シーンがあるぞ。

シン・ゴジラ【IMAX2D】』 日本 監督:庵野秀明 (T・ジョイPRINCE品川)

映画/特撮/アニメ その他 現代視覚文化の遺伝子/記憶を総活躍させた大傑作。恐ろしさそのものである怪獣に、主にホウレンソウで挑む今の日本国。楽しみ方/受け取り方のレイヤーが無数にある。予想以上に面白過ぎた。IMAXで観ると大きさが実物に近くなりオススメ。さらに関東でこれから観る人は、T・ジョイPRINCE品川で観るのが本当にオススメ。ゴジラが近くに来てしまい、5DXのような、何かもの凄い映画体験になる。自分は虎ノ門⇨新橋⇨品川ルートで自転車で通ってから観たが全て壊滅した。普段特撮は観ないアニメクラスタのみの人に勧めるなら、『サマーウォーズ』一番の見所である、おばあさんが電話を駆使するシーン。全編丸々があれの100倍の規模の奴でできた映画です。ガルパンよりも出る戦車の台数は多く、観た後は鎌倉から立川まで広い範囲が聖地になります。

『アンフレンデッド』 アメリカ 監督:レベン・ガブリアーゼ (池袋HUMAXシネマズ)

全編1PCモニターのみで展開するホラー。友人同士のSkypeに不審アカウントが出現。動画サイト、SNS、チャット等だけでの進行は斬新だが、恐怖表現も限界あり予告以上のものは無かった。

シン・ゴジラ』 (新宿バルト9)

観賞2回目。知ってても最後まで息つく間無く突き進む。ゴジラの進行速すぎてすぐ来ちゃう感じで、対策が間に合わない気持ちにシンクロできた。観賞後はシン・ゴジラ脳になってしまい、館内アナウンスや係員の案内すら劇中の早口台詞のように聴こえたぞ。

『劇場版 KING OF PRISM by PrettyRhythm(愛をいっぱい届けよう!プリズムスタ応援上映)』 日本 監督:菱田正和 (新宿バルト9) 

観賞2回目。応援上映は初。まだ上映してたことに驚き入場。観客はベテラン女子しかおらず。作法分からなくて男一人でめちゃくちゃ緊張したが、やはり楽しかった。

『シング・ストリート 未来へのうた』 アイルランド・イギリス・アメリカ合作 監督:ジョン・カーニー (ヒューマントラストシネマ有楽町)

アイルランド舞台のかわいい男の子版「けいおん!」+アメリカン・ニューシネマ的ラブストーリー。夢の障害に出会ってもストップしない意志、そしてさわやかさが良かった。

『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』 日本 監督:宮藤官九郎 (池袋HUMAXシネマズ)

ジャンルが特撮不思議コメディ長編というレアな映画。予告の印象通り、おかしなギャグを散りばめたライト作品。の筈が実は、無情に過ぎ行く時と、根本的に解決しない【死】による取り返しつかない地獄と希望を示したカルト映画。

『ケンとカズ』 日本 監督:小路紘史 (渋谷ユーロスペース)

困窮で より危険な薬物売買に手を出していく半グレ二人。犯罪映画でも青春映画でもない、苦しさの映画。親友でも良き相棒でもないのに、実はお互いに依存している二人の独特の関係。主演二人の顔面力が強い。

シン・ゴジラ【MX4D】』 (TOHOシネマズららぽーと横浜) 

観賞3回目。4Dは初。4D演出は無駄の無い感じ。観る度にゴジラの進行が早く感じ、登場人物が最善を尽くしているのも分かる。設定的にはまだ続編の余地ありそう。帰り道の電車が蒲田-大井町-品川を通るだけで興奮した。しかし、3回目観る前に『ゴジラFINAL WARS』を10年以上ぶりに観なおしたが、シンゴジの自衛隊ならFINAL WARS世界の怪獣の大半に普通に勝てそう。

シン・ゴジラ【IMAX2D】』(T・ジョイPRINCE品川)

観賞4回目。IMAX→通常→MX4D→IMAXと観て分かったことは、この作品はIMAXで最適になるように作られているということ。IMAXだと画面上の空間と情報(多様な人物、テロップ等)が広がって一番面白い。

ファインディング・ドリー (吹替)』 アメリカ 監督:アンドリュー・スタントン  (新宿ピカデリー)

超愛くるしいお魚達が現実以上に超リアルな海にいるので、こいつら生きてけないんじゃないか? と心配になるのが前半。後半は、殆どジャンルが変わったかの如く、力技のスーパー蛸アクション映画に変貌する、かなり無茶なトリップ感動映画。

『劇場版 響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~【ウーハー上映】』 日本 監督:石原立也 (塚口サンサン劇場)

TVアニメ再編集なことを感じさせない立派な青春音楽映画。実際に各楽器が演奏されており練習から大会まで演奏シーンの臨場感/緊張感が素晴らしい。麗奈と久美子の百合が濃縮されてて凄い。

『眼球の夢』 日本 監督:佐藤寿保 (シアターイメージフォーラム)

目/視線をモチーフにした官能サイコサスペンス。眼球の写真を撮り続ける女性カメラマン役 万里紗さんの、いい女なのに狂っちゃってる芝居と存在感が好きになった。ホラー感のある汐留周辺の撮り方が面白い。

アイカツ!ねらわれた魔法のアイカツ!カード』 日本 監督:木村隆一 (池袋シネマサンシャイン)

主要キャラほぼ登場の現状最終エピソード。初代主人公監督&二代目主人公主演の映画撮影が始まる。風に飛ばされたカードを追いかけるうちに、アニメ内現実と劇中劇の境目が溶け、キラキラお花畑と化すドラッグムービー。

『劇場版アイカツスターズ!』 日本 監督:綿田慎也 (池袋シネマサンシャイン)

予告編のお祭り映画っぽい感じは飾りで、実際は虹野ゆめと桜庭ローラふたりの友情ドラマ。他の女児アニメとは一線を画すアイカツスターズの繊細な作画はスクリーンで観るといい気分になる。

龍三と七人の子分たち』2015年 日本 監督:北野武 (TV録画)

元ヤクザのおじいちゃん達が老人狙いの詐欺グループに殴り込む。現代が舞台だが昭和のコメディのような雰囲気もあるコント映画。面白いが、七人の子分の活躍をもう少し見てみたかったかも。

傷物語Ⅱ 熱血篇』 日本 総監督:新房昭之 、監督:尾石達也 (新宿バルト9)

3人のハンターとの伝奇漫画的バトル & 羽川翼とのBOYS BEラブコメという、王道少年漫画なお話を、見た目超スタイリッシュに描く漫画映画。話はTV版より単純だが、Ⅰ と同様に、劇場スクリーンでシャフト空間の街に入り込んで観賞できるのは楽しい。

 『脱脱脱脱17』 日本 監督:松本花奈 (新宿K'sシネマ)

17才の女の子が家出する王道青春映画。なのだが、同行する男の子が34才の高校19年生(見た目50才)でヘン。基本はセカイ系なのに、中盤から昭和人情モノみたいになるバランスもヘンで面白い。

『電気100%』 日本 監督:幸洋子 (新宿K'sシネマ)

お知り合い程度の男女が?風呂につかりながら?女性がタイに行った土産話を聞く短編アニメ(?)。人物はスクリーンに現れず、風呂場に反響するお話を聞きながら、脳内に思い浮かぶような情景/イメージが連なる。観てるうちにトリップするドラッグムービー。

『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた (字幕)』 アイルランドルクセンブルク・ベルギー・フランス・デンマーク合作 監督:トム・ムーア (恵比寿ガーデンシネマ)

美しく優しい児童ファンタジーアニメ映画。絵本を越えた絵本 のような圧倒的美麗がそのまま動いてて驚愕。妹とアザラシと犬が コロコロしてて、めちゃんこかわいいー!

『ハイ・ライズ』 イギリス 監督:ベン・ウィートリー (ヒューマントラストシネマ渋谷)

金持ちほど上層に住む高層マンションが停電で無法地帯になる。停電前のレトロ未来な生活空間も、停電後の退廃密閉空間も、画が突出して美しい。シミュレート性よりもメッセージ性に力を入れていて完全に寓話。

『叫』 2007年 日本 監督:黒沢清 (レンタルDVD)

素晴らしい幽霊描写。『女優霊』と同じくらい古典になってておかしくない名作心霊映画。湾岸の恐ろしく物悲しい雰囲気もいい。『クリーピー』は演出は超最高だったのに警察無能部分に我慢できなかったが、この作品は良かった。

「超」怖い話』 日本 監督:千葉誠治 (キネカ大森:夏のホラー秘宝まつり2016)

3話のオムニバスホラー。2話目「教育実習」は、可愛い教育実習生 荻野可鈴さんが人けのない校内で遭遇したときの幽霊描写が秀逸。スクリプトドクター三宅隆太さんの言うところの幽霊ど真ん中で、短編ながらぞくぞくした。

 『ライト/オフ』 アメリカ 監督:デビッド・F・サンドバーグ (シネマート新宿)

電気を消すとなんかいるという、今までにありそうでなかった怖いホラー。予告編の要素で既に90%のパワー。そこに娘母の確執物語が加わる。全体的にはわりと誰にでもオススメできる王道ホラー映画。

『白ゆき姫殺人事件』 2014年  日本 監督:中村義洋 (Amazonビデオ)

OL殺人事件をTVディレクターが追う。ほとんどが、取材の様子・関係者証言・回想・TV報道・ネットの反応、だけで構成され次々真実が変わるのが面白い。クセのある人物ばかり出てくる。

『理由』 2004年 監督:大林宣彦 (Amazonビデオ)

高層マンションからの転落事件が発生。住人の証言を追ううちに真相が明らかになっていくタイプのミステリー。だがそこが本質ではないようで、事件そのものは解決しても証言の情報量がありすぎ&長すぎで、狐につままれたような謎な気持ちになるという映画。

『サウスバウンド』 2015年 アメリカ 監督:ロクサーヌ・ベンジャミン/デビッド・ブルックナー/パトリック・ホーバス/ラジオ・サイレンス (キネカ大森:夏のホラー秘宝まつり2016)

ここ数年増えた洋オムニバスホラーだが、同じ舞台なのがミソで、それぞれが薄く繋がってる。予想外の展開の繰り返しでかなり面白い。冒頭で二人の男が乗る車から見える何か嫌な景色だけでも最高感ある。上映回数少ないが関東のホラー好きはぜひ観に行ってほしい。

『転校生-さよなら あなた-』 2007年 日本 監督:大林宜彦 (レンタルDVD)

監督自身の代表作のセルフリブート。舞台が尾道から長野になったことと、後半のドラマがより現代風になったことが大きく違う。主演の蓮佛美沙子さんがめちゃんこ良く、1作目よりこっち版の方が好きになった。

君の名は。』 日本 監督:新海誠 (新宿ピカデリー)

劇場版なのにきちんと素敵なOPアニメがあるという形からの入れ替わりドキドキラブコメ(遠距離版転校生)としてだけでも相当面白い。のだが、さらにその先がある傑作SF青春アニメ。本当の本当にネタバレ厳禁なので、ネットを封印して今すぐ観に行った方がいい。

サウルの息子』 2015年 ハンガリー 監督:ネメシュ・ラースロー (キネカ大森)

カメラが全編サウルに寄っていて彼の認識できる範囲しかほぼ映さない構成。大量虐殺の地獄が日常風景のように淡々と描写される。ナチス強制収容所強制労働の日々を体感するというまさに本当にあった超恐ろしい映画。

『ロブスター』 2015年 アイルランド・イギリス・ギリシャ・フランス・オランダ・アメリカ合作 監督:ヨルゴス・ランティモス (キネカ大森)

45日以上独身だと動物にされ実質死ぬ社会を舞台にした寓話的ディストピアSF。独身強制収容所であるホテルを舞台にした前半は、これぞ映画よという感じの美しい画面かつユーモラスで残酷で面白かった。

『鷹の爪8 吉田くんの×(バッテン)ファイル』 日本 監督:FROGMAN (お台場シネマメディアージュ)

もはや秘密結社鷹の爪ではなく吉田君の子供時代話。Xファイルとターミネーターに、怪談要素と駄洒落を取って付けたようなお話。予告編で大半の要素を見せ過ぎているw

『イレブン・ミニッツ』 ポーランドアイルランド合作 監督:イエジー・スコリモフスキ (ヒューマントラストシネマ渋谷)

同じ町で起こる複数の人物の同じ11分間。これからマジでヤバい事が起こりそう な雰囲気が全開。ジャンル転換映画か?と何度か予感させつつも、予想できるような展開をしない面白い映画。

『へんげ』 2012年 日本 監督:大畑創 (レンタルDVD)

漠然とホラー映画というつもりで観始めた。しかし、妻と夫の話という軸はそのままに、54分の間で映画自体のジャンルが4回くらい変化していくという、面白い作りの作品だった。

四月は君の嘘』 日本 監督:新城毅彦 ( 新宿バルト9)

音楽要素を減らしオーソドックスな今時の泣き系邦画に。今までの広瀬すず主演の漫画原作映画(海街、ちはやふる)が名作だったので期待が大きすぎたからか、普通だった。主演二人が本当に出ずっぱりで、可愛いのは可愛いので、二人のファンからは申し分無いのかも。

『電気100%』(新宿k'sシネマ)

別作品との併映で2回目。ポカンとするが、『フラッシュバックメモリーズ』にも通ずるドラッグムービーとしてやはり面白い。実は、片目で観るとほぼ3D映画になってトリップ度が増すのでオススメ。

『神宿スワン』 日本 監督:中山剛平 (新宿k'sシネマ)

今年観た中で最も邪悪な『孤高の遠吠』の小林勇貴監督が脚本のアイドル映画(!)ということで観賞。気になる内容は、TVでもほぼ絶滅した特撮不思議コメディ。各女の子のお付きの妖精がロジャーラビット的にアニメで描写される。かなりユルく楽しかった、

スーサイド・スクワッドIMAX 3D】』 アメリカ 監督:デビッド・エアー (TOHOシネマズ新宿)

ハーレクインの激カワが見所の6割。冒頭から出撃までのわくわく感で2割。あとはオーソドックスな東映まんが祭り的進行をする、普通に楽しい娯楽映画。爆弾への信頼が厚すぎる爆弾最強の謎パワーバランス。大して悪人じゃないぞ。

『怒り』 日本 監督:李相日 (TOHOシネマズ日劇 )

今の人気俳優を集結させた興行的スター映画ながらも、去年今年の邦画傑作群らが持っていた様々なテーマとリンクしている、「ガチ系邦画2016アベンジャーズ」のような存在。深刻な話だがミステリー/恋愛映画は保ち、ギリギリエンタメというバランス。出演者皆凄い。なぜか近年の様々な邦画とシンクロニシティ新宿スワン海街diary、恋人たち、SHARING、リップヴァンウィンクルの花嫁、ヒメアノ~ル、葛城事件 他、様々な作品を想起させる。犯人の顔が自分の知人に見えてしまうという、この作品のように、自分が観た様々な作品とのリンクを感じてしまうのはテーマが包括的だからか。

『BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』 アメリカ 監督:スティーヴン・スピルバーグ (池袋シネマサンシャイン)

7m級巨人と女の子が全シーン一緒に映っていて、どうやって撮影しているのか分からん。そこは超凄いが、話は超普通の子供向けファンタジー。女の子は可愛いがBFG部屋のドタバタばかりで、終盤のイギリス軍介入以外はタルかった。

ゴジラの逆襲』 1955年 日本 監督:小田基義 (レンタルDVD)

1作目における幽霊/呪い感がいきなり無くなり、暴れん坊怪獣として描かれてる。これが後のウルトラ怪獣に繋がっていくのかという感じ。海上での照明弾作戦のシーンが際立っていて、実際の展開以上に何かヤバイこと起きてるの?感ある。

『大怪獣バラン』1958年 日本 監督:本多猪四郎 (レンタルDVD)

後半の、 自衛隊攻撃→効果なし→打ち合わせ→次の攻撃 という繰り返しの展開は、洗練されてシン・ゴジラに受け継がれてる気がする。日本に初の怪獣が出て試行錯誤する話という部分もそう。バランが光線などの武装無く、基本ハイハイ移動しかしないのも、そのサイズ感もシン・ゴシラの蒲田編にエッセンスが継がれている?

たまこラブストーリー』 2014年 日本 監督:山田尚子 (TV録画)

顧客が本当に望んでいたものではなかったTVシリーズの鳥&南の国要素を短編に隔離。うぶな初恋もの映画をガチで展開。キャラの成長と共に、作品自体も悪い意味の日常系TVまんがから、青春の1ページ的な日常ドラマに成長していくという稀な劇場化アニメ。

『少女』 日本 監督:三島有紀子 (渋谷TOEI)

サスペンスの雰囲気をまとった、二人の女の子の友情話。強い部分も弱い部分も魅力的な主演の本田翼さん&山本美月さん含め役者陣良い。予告を観て膨らんだ勝手な期待よりも結構マイルドで、イイ話寄りの青春少女映画。

『無垢の祈り』 日本 監督:亀井亨 (渋谷アップリンク)

児童虐待心霊スプラッタ。容赦ない酷い描写で、覚悟してから行かないと相当キツい絶望シネマ。女の子がコンビナートを放浪するシーンだけでも、街や走るトラック・工場地帯そのものが怪物のようでおぞましい。2016年は邦画でバイオレンス映画の名作が多い。Dressing Up/SHARING/知らない町/が肌で感じた日本の不安感のようなもの。ヒメアノ~ル/クリーピー/葛城事件で輪郭が見え、シン・ゴジラ/怒り/無垢の祈り で怪物として噴出。地方のSRサイタマノラッパー/孤高の遠吠/ディストラクション・ベイビーズはとっくに火中だった。というシンクロニシティを感じる。

追悼のざわめき』 1988年 日本 監督:松井良彦 (DVD)

フェイクドキュメンタリードラマ『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』の中で、斎藤工さんが松岡茉優さん&伊藤沙莉さんに無理やり見せていたのが気になって観賞。かわいそうな人たちが惨たらしい最低のことをしたりされたりする絶望の映画。80年代の大阪・釜ヶ崎周辺で撮影されているのが効果的で、実際に日常空間から塀をひとつ越えた隣に地獄がある立地がうまく使われている。

『神様メール』ベルギー・フランス・ルクセンブルク合作 監督:ジャコ・バン・ドルマル (飯田橋ギンレイホール)

神の娘が地球の全人間に寿命を伝えるメールを送ってしまう。変な人々が交流する面白コメディ映画でありつつ、人生について考えてもしまうドラマ。主演の女の子が強さと天使の可愛さを合わせ持ちまさに「神の娘」という佇まい。

『ババドック 暗闇の魔物』2014年 オーストラリア 監督:ジェニファー・ケント  (レンタルDVD)

シングルマザー親子の過酷な心労をホラーで表現。狂っていく母親と、黒い暗い家の中での心霊描写だけでかなり怖い。そこからさらに題材そのものの恐ろしさと、一度観ただけでは腑に落ちない違和感が残る名作。

ゼーガペインADP』 日本 監督:下田正美 (MOVIXさいたま)

観始めの印象は「10年前のTVアニメの画をスクリーンで直視するのが辛い、いびつな総集編」。実は、放送当時観た曖昧な記憶を思い出しつつ観ること自体が「繰り返すと記憶が欠落する」設定とリンクし、それぞれの視聴体験となる。という他に類の無い凄いファンムービー。

ダゲレオタイプの女』フランス・ベルギー・日本合作 監督:黒沢清 (ヒューマントラストシネマ有楽町)

フランスで作られた映画で、写真(=映画)に捕らわれた人の話。クラシックな西洋心霊映画ジャンルの完全新作でありつつ、黒沢清濃度も全部入り過去最高MAX大サービス、というお化け映画!。『君の名は。』が新海誠全部入りで大興奮だったのは皆さんの記憶に新しいと思います。『ダゲレオタイプの女』の方も、黒沢清全部入りで大興奮です。開始直後から門、扉、鏡、階段、ドア、ドア、幽霊、階段。ず〜っとドア、ドア、窓、カーテン、階段、半透明、車、水辺、橋、です。本当にありがとうございました。

シン・ゴジラ【極上爆音上映】』 (立川シネマシティ)

累計5回目の観賞。だが未だ普通に面白く、爆音を味わうというよりも単に見入ってしまった。映画の速さに慣れたのか、矢口と尾頭さん以外の台詞は早口に感じなかったが、観る度にゴジラがあっという間に東京に到達するように感じる。

『映画 聲の形』 日本 監督:山田尚子 (池袋シネマサンシャイン)

京都アニメーション山田尚子監督が、学園モノ/泣きゲーモノ/セカイ系/日常系/BL/など、数々の蓄積の先に表現できたアニメ映画の傑作!。気まずい空気感が凄く、どうしたらいいか分からない気持ちになる。

『降霊 KOUREI』 1999年 監督:黒沢清 (レンタルDVD)

幽霊の見え方・幽霊に取りつかれることとはどういうことかにこだわった一級JホラーTV映画。ファミレスで「見えて」しまうシーンなど、良い(↓)。既に役所広司ドッペルゲンガーも出てくるぞ。

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『淵に立つ』 日本 監督:深田晃司 (有楽町スバル座)

夫婦と娘の一家に夫の昔の知人が住み込み、異常が浮き彫りになる。ショック演出皆無なのに、凡百の映画ならここでクライマックス後に完!という位の薄黒い気持ちの揺すぶりが、延々と20回くらい続く恐ろしくヤバい映画。予告だけ見ると平凡な邦画に見えるので予告は見なくていいかも。

キングコング対ゴジラ【4Kデジタルリマスター版】』1962年 日本 監督:本多猪四郎 (EX THEATER ROPPONGI、東京国際映画祭)

サラリーマンずっこけコメディ的シーンと、キングコングのお茶目な振る舞いに結構笑いが起きていてまさに娯楽映画という感じ。スクリーンで観ると、大ダコの写っている場面が飛びぬけて異様で、見たことがない映像だった。

GANTZ:O』 日本 監督:さとうけいいち (立川シネマシティ)

道頓堀の近くに住んでいた身からしても、心斎橋筋から道頓堀周辺の背景のリアルさはかなりのもの。大阪に転移した最初の場面は思わず身を乗り出してしまった。「今の道頓堀で怪獣が暴れまわる映画」としての部分は良かった。丸ノ内線新宿駅もリアル。

この世界の片隅に【極上音響上映】』 日本 監督: 片渕須直 (立川シネマシティ ワン)

広島・呉を舞台に、太平洋戦争に突入していく日本と、普通の女の子の日常を描いた戦争映画。暖かいほのぼのまんが的絵柄で油断するが、多彩で繊細な演出の積み重ねで、戦争の非情さと、人の優しい強さを正面から描く傑作!

『湯を沸かすほどの熱い愛』 日本 監督:中野量太 (ヒューマントラストシネマ有楽町)

余命2か月の母が、自分の命を人質に我を通し、他人を巻き込み新しい家族を構築させてしまう話。お客さんの中に泣いている人が結構いたが、お涙頂戴映画に見えて、主要人物の境遇が偏り過ぎ(呪いか?)など、異様さも見せる映画。娘役の杉咲花さんの演技は優勝!

『眠り姫 サラウンドリマスター版』日本 監督:七里圭 (新宿Ksシネマ)

役者がほぼ登場しない、イメージ映像と会話だけの珍しいトリップ映画。神経に触る感じや、視覚と音の没入感がサウンドノベルにのめり込んだ時の感覚に似ていた。実は心霊映画だったのかな?

『花に嵐』 日本 監督:岩切一空 (横浜シネマジャック&ベティ)

映画サークルに入ったさえない大学1年。借りたカメラでなんとなく撮り始めた映像が、いつの間にかサスペンスフルで怖くエロいドキュメンタリー心霊青春映画になっていく!これは相当面白いぞ!

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永い言い訳』 日本 監督:西川美和 (TOHOシネマズ渋谷)

作家の妻が事故で亡くなる。同じ事故で妻を亡くした男と会い、その子供達の面倒も見るようになる。最初の事故もニュースで語られるのみ、派手な事件も衝撃の展開も無い地味なドラマ。短い言葉で要約できないような気持ちを描くことに映画丸々一本費やしている。

『ホラーの天使』 日本 監督:長江俊和 (シネリーブル池袋)

同じ廃校スタジオにいた3組の出来事を平行して追いかけるPOVホラー。今までの「放送禁止」シリーズ的な超どんでん返しや謎を期待したが、今回は「ひとひねりある低予算ホラービデオ」という趣だった。

『エヴォリューション』 2015年 フランス 監督:ルシール・アザリロビック (渋谷アップリンク)

荒波の孤島にある小さい町には数人の少年と、お世話する女たちしかいない。一人の少年が島の暮らしに違和感を感じ始める。お洒落で綺麗な画、 かつ、生命の美しさと気色悪さが同居した怪奇幻想映画。

ホドロフスキーの虹泥棒』1990年 イギリス 監督:アレハンドロ・ホドロフスキー (渋谷アップリンク)

金が欲しいスリのホームレスが大切なものを見つけるいいお話。初期作のような抽象異世界の話ではなく、名作童話のような趣き。終盤、今までの舞台に洪水が起こるのだが水量のインパクトが異常!

ヒッチコックトリュフォー』 フランス・アメリカ合作 監督:ケント・ジョーンズ (新宿シネマカリテ)

トリュフォーによるヒッチコックのインタビュー音声を中心に、10人の映画監督によるヒッチコック語りを散りばめたドキュメント。実際に該当作品のシーンを参照しながら観られるのが良かった。

 『ドント・ブリーズ』 アメリカ 監督:フェデ・アルバレス (TOHOシネマズみゆき座)

クズの若者達が盲目の老人の家に泥棒に入るが、元軍人で半狂いだった!。緊迫感のハラハラが相当面白い。見方によって、スリラーにもホラーにも、貧困と戦争の犠牲者を描く社会派映画にも見える。

『めまい【4Kリマスター】』 1958年 アメリカ 監督:アルフレッド・ヒッチコック (楽天地シネマズ錦糸町、午前十時の映画祭)

15年位前にビデオで見たのみ。劇場観賞は初。劇場で観ると、窓の外の景色や花屋のシーンなどが美しかった。幽霊映画とみせかけてサスペンスだった後、ロマンスに進みそうで、狂人になっちゃうという、ジャンルが転換していく映画だったのか。

好きになるその瞬間を。告白実行委員会~』 日本 監督:柳沢テツヤ (渋谷TOEI)

「ずっと前から好きでした」 のパート2で、1の主役の妹と弟のお話。一人一人が少女漫画の主役のような存在感を持つキャラ達が多数入り乱れるという、きれいすぎるキラキラ青春話。それが海外ドラマのように無限に続いていきそうな圧力がある。

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー【字幕3D】』 アメリカ 監督:ギャレス・エドワーズ (TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

世界が今までより戦場っぽく描かれているのが良かった。座頭市キャラが棒で帝国兵をなぎ倒すわ、盲目なのに光線銃を避けるわで超強くて楽しかったので、もっと活躍してほしかった。

世にも怪奇な物語』1967年 フランス 監督:ロジェ・バディム/ルイ・マル/フェデリコ・フェリーニ (池袋新文芸座)

3作の幻想オムニバス。3話目、死神を見た英国俳優がイタリアで狂うフェリーニ監督「悪魔の首飾り」の凄みが突き抜けていた。冒頭の、空港→車内シーンで既になんか不吉なものがいっぱい映ってる。終盤、フェラーリ疾走シーンの不思議で怖おトリップ度も凄まじい!

サスペリア』 1977年 イタリア 監督:ダリオ・アルジェント (池袋新文芸坐)

高校の時にDVDで観て以来17年以上ぶり、劇場では初。怖さはほぼ無し。室内のギラギラ色彩&美術の美しさと、ショックハプニングイベントのインパクトで奇妙な気分になる。主演のジェシカ・ハーパーは、あらためてスクリーンで見たら可憐でかなり可愛かった。

もしも建物が話せたら【3D 日本語吹替】』 監督:ビム・ベンダース他 (渋谷アップリンク、見逃した映画特集)

建物目線の語りで送るドキュメンタリー6篇。音楽ホールなどの名建築を3Dで体験できるのは貴重。だが、建物さん達が語ってくれるお話の情報量が少なく退屈。

教授と美女』1941年 アメリカ 監督:ハワード・ホークス (シネマヴェーラ渋谷で)

何年も辞書を作り続けている8人の教授グループ。その中の若い男がギャングの女に騙されるが…というコメディ。博識だが世間知らずの教授おじいちゃん達が繰り広げる高偏差値おとぼけギャグの連続がなかなか楽しい。

甘い生活』1960年 イタリア 監督:フェデリコ・フェリーニ (北千住シネマブルースタジオ)

ローマの新聞記者が、米国女優と不倫デートするの巻、セレブ達と肝試しするの巻など、色々する連続ドラマ。3時間は正直長くもあったが、それも乗り越えた最後、お屋敷を出て、林から海岸と流れるラストシーンから受ける感情は格別。

 『虎鮫』1932年 アメリカ 監督:ハワード・ホークス (シネマヴェーラ渋谷)

ジョーズより43年前のサメ映画!。モテない漁師と、ハンサムなその相棒、そしてサメに親を殺された女の子の三角関係のお話。映画の半分がマグロ一本釣りや水揚げなどの漁業描写。本当の漁を撮影してるような感じでドキュメント感ある。

『はるねこ』 日本 監督:甫木元空 (渋谷ユーロスペース)

可愛い題だが動物お涙映画ではなく、非Jホラーな新しい心霊映画!。この世とあの世の境目の樹海に、死にに来た人や死んでしまった人などがいる話? 。森の中で見えない多くの亡者がいるシーンの音響など、幽霊描写が良いぞ!

溺れるナイフ』 日本 監督:山戸結希 (小山シネマロブレ)

女の子の過ぎ去った輝ける青春を濃縮したような映画。観ると今まで理解できなかった女の子の視界の一部が分かってしまう。シネフィル歓喜みたいな感じ!と言えばいいのか、いわゆるガチな映画的カットが多数あって驚愕!

『天国はまだ遠い』 日本 監督:濱口竜介 (ポレポレ東中野)

一人の女の子といつも一緒にいる男が、ある卒業制作用のインタビューを依頼される。38分の短編なのに、緊迫・感動・虚実あり、さらにヒロインの小川あんさんの魅力に誰もが惚れるという、長編映画1本観た充実度!。もっと早くこの濱口竜介監督に気づいてたら全作観に行ってた…

『不気味なものの肌に触れる』2014年 日本 監督:濱口竜介 (ポレポレ東中野)

筋書は染谷将太石田法嗣の友情物語で、テーマはコミュニケーションの不可能性みたいな感じ。だが、映っているものはもっと違う困ったもののような気がする。サスペンス、またはおとぎ話ホラー?。

『太陽を掴め』 日本 監督:中村祐太郎 (テアトル新宿)

事務所の女社長に飼われてるバンドマン / 社長のボンボン息子 / 女の子 の三角関係。男二人は今の日本だと恵まれてる方なので、甘ちゃんなのだが、その甘さも含めて粗削りでまっすぐな青春映画。玄関の鍵は閉めなさい。

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』 イギリス 監督:ギャビン・フッド (TOHOシネマズシャンテ)

最新ドローンでテロリストを爆撃できるが、巻き添えで少女も死ぬ。爆撃しないとテロで大勢が死ぬ。どうする?という話。誰も責任取れない会議と現場のずれによる、緊迫の映画。

2016年映画ベスト10 

と言いつつ、10作に絞れず、27作ある。(映画館で観た新作128本中)

エクス・マキナ
溺れるナイフ
日本で一番悪い奴ら
ひそひそ星
アイアムアヒーロー
シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
残穢(ざんえ)―住んではいけない部屋―
劇場版KING OF PRISM by PrettyRhythm
はるねこ
君の名は。
孤高の遠吠
映画 聲の形
淵に立つ
SHARING
神様メール
怒り
天国はまだ遠い
明日の世界
LOVE【3D】
葛城事件
花に嵐
FAKE
リップヴァンウィンクルの花嫁
貞子vs伽椰子
イット・フォローズ
ダゲレオタイプの女
この世界の片隅に
シン・ゴジラ

 

次回

tenguotoko.hatenablog.com

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【映画感想】テアトル新宿でやってる『影鰐LIVE上映 2.8 猿楽ナイトツアー』とは何か?

(2018年 日本 原作監督:高嶋友也) テアトル新宿で6/30(土)の回を観賞

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文字列だけ読むと情報量多くてよく分からない『影鰐LIVE上映 2.8 猿楽ナイトツアー』。偶然テアトル新宿のホームページで見かけ、「なんだこれ?」と気になったので、行ってきました。

TVアニメ『影鰐-KAGEWANI-』について

TVアニメ『影鰐-KAGEWANI-』は、TOKYO MXBS11のショートアニメ3本枠「ウルトラスーパーアニメタイム」内で2期まで放送されたホラーアニメです。TVアニメでは珍しいモンスターホラーというジャンル。既存のアニメの流行りとは真逆を行く紙芝居風アニメーション「劇メーション」。恐ろしいモンスター。なんかヘンな展開など、他のアニメに埋もれない個性を持ち、コアな人気があります。私は本放送時、ぼんやりと録画をつまみ食いしてたので細かい内容は把握していなかったのですが、人が死にまくる残酷な展開と、緊迫シーンで流れる「か~げ~わ~に~!」というコーラスのBGMの印象は残っています。第1話は今でも無料でニコニコで観られます。

www.nicovideo.jp

この『影鰐LIVE上映 2.8 猿楽ナイトツアー』。タイトルを見てもいまいち意味が分かりませんでした。「LIVE上映」って、なんだ?、『キンプリ』とか『HiGH&LOW』みたいな、「応援上映」じゃないの?。ん?「2.8」もわからん。「ツアー」もわからん。わからんことだらけです。とりあえず普通に指定席のチケットを買って、席に座りました。

あらわれた怪しい男たち

上映時間になると、スクリーンの前に何やら普通じゃない、あやしい出で立ちの男3人が登場。イベント系応援上映では、作品に合ったコスプレをしたスタッフさんが前説をすることは良くあるので、この時点では「やっぱり応援上映なのかな?」と思いました。しかし、それは間違いでした。『影鰐LIVE上映 2.8 猿楽ナイトツアー』は既に始まっていたのです。

これがイベント系応援上映なら「こんばんは!前説の〇〇です!」と自己紹介&マナーの説明が始まります。しかし、出てきた男たち、司会者にしては動きがキレキレすぎる。自分たちのことを、「UMAがいるホラースポットに潜入するのが大好きなヤバい奴」とか言っており、コスプレのようなメタ感がない。小芝居とかではなく、普通にお芝居が始まっている感じ。

この時点で私はタイトルの中にある「2.8」という数字を思い出しました。そういえば、お客さんの女性率が高いかも。もしかして、TVアニメ『影鰐-KAGEWANI-』の劇場版と思い違いして、別メディアミックスとしての2.5次元舞台に来てしまったのか?という考えが一瞬よぎりました。

影鰐-KAGEWANI-』の劇場版(普通じゃない)

 3人の男たちは、今回のホラースポットとして、怪しい研究が行われていたという噂のある廃ビルに潜入すると言っています。我々観客は、そのツアーの参加者とのこと。そう言われてみれば、既にスクリーンには廃ビルの映像が映されています。芝居が続き、それじゃあ潜入するぜ!!と劇場を出ていく男たち。すると、映像が動き始め、さっきまで目の前にいた男たちが登場人物として映画の中に出てきました! すごい! なんとこの上映。「本物の役者さんと映画が連動して進んでいく」という新しい上映形態だったのです。2.5次元舞台かもという憶測は考えすぎでした。リアル役者さんたちの出番も最初で終わりではなく、ちょくちょく登場します。映画館で通常上映の映画を400本観ても体験できないような展開となりますが、これから参加する方の楽しみの為に具体的には書きません。※最大限に楽しむコツとしては、ロビーで売ってるコラボドリンクは買って入った方がより楽しめます。

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TVアニメの総集編映画としても面白いつくり

TVアニメの総集編映画というのは昔からたくさんあります。ひとつの映画としてうまく再構成されていればいいのですが、アニメの総集編映画の中には、本当にただの総集編で魅力に欠けるものも少なくないかもしれません。しかし、『影鰐LIVE上映 2.8 猿楽ナイトツアー』は総集編映画としても工夫があり、面白いつくりになっています。

観客は3人の男と一緒にツアーの参加者として『影鰐-KAGEWANI-』の世界観に入り込みます。この世界の裏で起こっていた恐ろしい出来事を知っていくという構成で、通常のP.O.V.映画ともまた違う、嬉しい臨場感を味わうことができました。テアトル新宿での上映は7/6(金)までですが、興味のある方、そして『影鰐-KAGEWANI-』好きなのにこのイベント知らなかったという方はぜひ参加してみてください!

唯一残念だったのは、「か~げ~わ~に~!」というコーラスのBGMが無かったことくらいか!?

 

ttcg.jp

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【映画感想】『少女ピカレスク』-「ちゃんとした」ホラー映画とアイドル映画の両立

(2018年 日本 監督:井口昇) シネマート新宿で観賞。

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「あれ?ちゃんとしてる」

それが、この映画観賞中の気持ちでした。井口昇監督は、代表作が『片腕マシンガール(08)』、『電人ザボーガー(11)』といった、ジャンル映画好きにはたまらないB級映画のベテラン。近年の単館系作品ではさらに、その独自の作風をむき出しにしています。

スレイブメン(17)』は、特撮ヒーロー映画をよそおいながらも、全くヒーローものではなく、傷ついた個人の内面へ内面へ入っていく、という超セカイ系映画でした。また、今年公開したばかりの『ゴーストスクワッド(18)』は、そのルックは一見、コスプレアイドルの安いコント。だが実は、「女子高生コンクリート詰め殺人事件」のように酷く虐殺された女の子たちの狂った霊が犯人に復讐していくという、陰惨で重いテーマと、その先の希望を描いた作品でした。

どれも面白いのですが、今までの作品には、「低予算を逆手に取った、かなりチープでしょうもないおふざけギャグ」という共通の作風がありました。そのチープなギャグを何度も乗り越えた先に生まれる感動のようなものが持ち味でもあるので、良い個性なのですが、観る人を明らかに絞る作風です。(私は好きです)

少女ピカレスク』を観て「あれ?ちゃんとしてる!」と感じた理由。それは、今作は「おふざけ」が控え目だったのです。井口昇監督作品としては、驚きのバランスです。

ホラー映画としてちゃんとしてる

 『少女ピカレスク』は、地下アイドルのネット生配信を中心に展開するドキュメンタリータッチのホラー/バイオレンス映画です。映画の半分は、生配信のP.O.V画面で進行します。

数十人だけいるファンに向けて、今日も自宅でひとり生配信をするアイドル ヒカリ。しかし、生配信を見ていくうちに、ストーカーのような嫌な人に悩まされていることが分かります。さらにそのせいか、この女の子自身も情緒不安定になっていることなどがうかがえてきます。

PV撮影のシーンや、新曲PVの共演者である別の女の子の生配信を見ていくうちに、ヒカリがかつて父親に虐待されていたらしいことや、やはり何か異常なモノが近くにいるらしいことがうかがえ、だんだん不穏な事態になっていきます。この、アイドルの生配信を活かした演出が上手い。油断しているといつの間にか画面に怖いものが映っていて「うお!」となる瞬間が何度かありました。日本の他の監督でいえば、白石晃司監督のホラー作品を頂点とする「Jホラー以降のJホラー」の性質に通じる部分もあります。

アイドル映画としてちゃんとしてる

少女ピカレスク』は、ちゃんとした怖いホラー映画であり、残酷なバイオレンス映画でもあります。しかし、この作品が凄いのは、それでもなおアイドル映画として成立しているという点にあります。まず、物語そのものが、ほんの少しのファンしかいないような地下アイドルの孤独を描いています。井口昇作品としては、やはり今までの作品と連続するテーマで、虐待などで傷ついた人間とその癒しを描いていると言えます。ホラー映画でありバイオレンス映画ですが「恐怖」や「暴力」そのものをテーマにしているのではなく、あくまでも人の孤独を描いているのです。その心を痛めた孤独なアイドル「ヒカリ」が憑依したような、主演の椎名ひかりさんのシンクロ具合も素晴らしい!。主演のアイドルを魅力的に描いているという意味でも『少女ピカレスク』はちゃんとしたアイドル映画です。日本のホラー映画好きの方もアイドル映画好きの方もぜひ観てください。

少女ピカレスク』のパンフレット

は、ありませんでした。なので、映画館で売っていたMカードというグッズを購入。

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この映画の主題歌『確認事項:しあわせとかについて』のフルサイズとカラオケ音源。そしてフルサイズのPVと、映画の簡単なメイキング動画(4分ほど)がダウンロードできるカードです。パンフレットが無いのは残念でしたが、主題歌CDを買う感覚で映画のメイキングも観られるのは斬新です。また、PV自体が映画の中で作られるので、PVも事実上映画本編の一部となっています。作品内容にマッチした良いグッズです。

 

配信ドラマ『少女ピカレスク』【特別先行上映決定】|ファミリー劇場

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【映画感想】映画のシンクロニシティ-『デッドプール2』『万引き家族』『ゲティ家の身代金』は全部観るとシンクロする!

名画座の特集上映やオールナイト、2番館での2本立てなどに通うようになり分かってきたことがあります。短い間に複数の映画を観た際、共通したり相反するテーマやイメージが頭の中に蓄積され、単独作品を観ただけの気持ちとはまた違う印象を残すことがあるのです。映画のシンクロニシティです。

映画のシンクロニシティ

はっきり意識したのは、目黒駅前の映画館「目黒シネマ」での、『何者 (2016年 監督:三浦大輔)』と『SCOOP!(2016年 監督:大根仁)』の2本立てでした。この2作、もちろんシリーズでもなんでもありませんが、二階堂ふみさんがメイン出演という以外にもリンクしている部分がありました。『何者』は、就職活動という、無限の可能性に満ちたキラキラさと、その裏にある、SNS等を通して見える暗い卑しい感情を同時に描いた作品。一方『SCOOP!』は、週刊誌の編集部に入りたての新人と、行く先が見えずもがいているベテランパパラッチの仕事・業界を描いた作品。『SCOOP!』は、『何者』で描かれたことの延長線上にあり、連続で観るとどちらのテーマも強調してくれるような独特の印象が生まれたのです。

疑似家族の絆

デッドプール2』で、デッドプールは自らこの映画を「ファミリームービー」と紹介します。それはジョークに聞こえますが嘘ではありません。ジャンルはヒーロー映画&コメディ映画ですが、人種差別問題をミュータントという特殊能力を持つ新人類に置き換えている「X-MEN」シリーズのテーマを引き継いでいます。心に傷を持った人、周りと違う人、身寄りのない人同士が、チーム/疑似家族となっていく人情ばなしが『デッドプール2』なのです。

万引き家族』は、それと全く同じです。様々な理由で普通の家族が作れず、社会から疎外された人々が疑似家族となる人情ばなし。それが『万引き家族』です。(この作品については前回の感想もご参考ください ↓) 

【映画感想】『万引き家族』は実質アベンジャーズ - 映画とかのおはなしブログ

 片方は最高にふざけたエンタメヒーロー映画。片方はカンヌパルムドールですが、共通するテーマを持っていることが分かり、印象が深まります。

そしてさらに、もう一作合わせて観てほしいのが『ゲティ家の身代金』(2018年 アメリカ 監督:リドリー・スコット)です。

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家族・お金・誘拐

ゲティ家の身代金』は、実際にあった誘拐事件を描いた映画です。世界一の大富豪の孫のひとりが営利誘拐。犯人は超高額な身代金を要求。しかし、血の繋がった可愛がっていた孫にもかかわらず、富豪はビタ一文も払おうとしません。世界一の大富豪が大富豪成りえたのは、世界一どケチだったからなのです! 

息子をなんとしてでも助けたい母親。いくら脅しても払われない身代金に焦る犯人。いつの間にか善悪のバランスがおかしくなり、正しい正しくないとは無関係に、いかにして世界一の大富豪にお金を出してもらうかという、お金中心の奇妙なコミュニケーションが動いていきます。

映画『万引き家族』は、それと正反対の状況になります。この家族は、万引き・横領・ゆすり・寄生、無しには生活できないほどの貧困。しかし、通りすがりに5歳の女の子が虐待されているのを知り、「お金にならない」のに放っておけず、保護してしまいます。しかし、その行為は世の中から見ると怪しい犯罪集団が女の子を誘拐したとしかみなされず、家族は糾弾されていきます…。一体、何が正解で誰かが正しかったのでしょうか?。それぞれが単独で考えさせられる大作ですが、両方観ることで、より深みが増してきます。

そういった、映画のシンクロニシティが味わえます。『デッドプール2』『万引き家族』『ゲティ家の身代金』のどれかひとつでもご覧になった方は、ぜひ他の作品も観てください!

映画『デッドプール2』公式サイト

是枝裕和監督 最新作『万引き家族』公式サイト

映画『ゲティ家の身代金』 | 5月25日(金)全国ロードショー

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【映画感想】『万引き家族』は実質アベンジャーズ

(2018年 日本 監督:是枝裕和)  TOHOシネマズ日比谷で観賞

まだ観てない方へのススメ

映画大量観賞クラスタの皆さんは既に観賞済みと思います。ので、「映画はわりと観るけど、いまいち食指が動かん」方に向けたススメです。

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 この作品は現代日本の貧困などを描いた社会派映画であるということは自明であり、既にプロアマ問わず非常に多くの方が評論・感想を述べられています。TBSラジオクラウドをつまみ聴きしているだけでも、「たまむすび」で町山智浩さん、「荒川強啓デイ・キャッチ!」で宮台真司さん、「荻上チキSession-22」で荻上チキさん、「アフター6ジャンクション」でライムスター宇多丸さんと、映画評論をする番組では軒並み特集。新聞・雑誌各誌やSNS上の真面目な評論・感想も、いくらでもあるはずなので、そういうことは書きません。

 今回書きたいことはこれです。映画『万引き家族』は二つの意味で実質アベンジャーズなのだ!(え?)

社会問題のアベンジャーズ

この映画、単なる「社会派映画」ではありません。言うなれば「1つの問題だけで映画1作できそうな社会問題が勢ぞろいしたアベンジャーズ」、「エクストリーム社会派映画」です。エクストリーム映画ですので、私の好きなエクストリーム格闘漫画『グラップラー刃牙』風に表現しましょう。(なぜ?)

全選手入場!!

総合万引き技は すでに我々が完成している!!
日雇い肉体労働の事故で労災はおりず!!  夫・治だァ――――!!!

 

DVの元夫は殺して埋めてナンボのモン!!! 職場での超実戦横領!!
妻・信代の登場だ!!!

 

真の万引きを知らしめたい!! 最初に拾われた孤児!! 祥太だァ!!!

 

穏やかな強請りなら 我々の歴史がものを言う!!
血縁者無し! 独居老人 初枝!!!

 

指名されしだいハグしまくってやる!!
親に外国留学と偽りソフト風俗勤務のフリーター(?) 亜紀だァッ!!!

 

行栄不明の女児(5歳)は生きていた!! 疑似家族で絆を結んだ虐待少女は甦るのか!!?
じゅり!! またの名は りん だァ――――!!!

 

加えてこの万引き一家以外にも  超豪華なリザーバーを3名御用意致しました!


社会の居場所はもはやソフト風俗通いだけ!  池松壮亮なのに役名は4番さん!!

 

特に理由はないッ 児童虐待が悪いのは当たりまえ!!
マスコミにはないしょだ!!! 5歳児にアイロンを押し当てる!
じゅりの両親がきてくれた―――!!!

 このエントリーはぶっちゃけこれがやりたかっただけです(←!?)。ですが、以上のように、社会問題のるつぼと化した全員赤の他人同士が、様々な思惑を抱えつつ、一つ屋根の下で疑似家族として暮らす。そして外部とも対峙せざるを得なくなる、「社会派映画のアベンジャーズ」なのです。「貧困問題」のようなひとつの問題ではなく、数えきれない様々な社会問題がこの映画には含まれています。すぐ解決できる問題なら社会問題にはならないわけで、この作品の中でも「正解」は提示されません。観た人それぞれが受け取り、考えていかなければならないという内容になっています。

 邦画俳優アベンジャーズ

是枝監督の過去作『海街diary(15)』は、観た人は分かりますが、実は既に実質アベンジャーズでした。『海街diary』は、漫画原作映画ながら軽薄な娯楽映画ではなく、地に足がついた古き良き日本映画の現代版のような作品。しかし、主役4人に目を向けると、長女- 綾瀬はるか。次女- 長澤まさみ。三女- 夏帆。異母妹- 広瀬すず。と、一人で大衆娯楽映画のヒロインや主役を何作もやっている女優さんばかり!。『海街diary』は、ある意味スーパーヒロイン大集合映画だったのです。

今回の『万引き家族』も、その延長線上にあるアベンジャーズ映画なんです。「カンヌ国際映画祭パルムドール受賞」「社会派」という面にばかり意識が向きがちですが、出演俳優さんを冷静に見ていくだけで分かります。

夫・治 役 リリ・フランキーさん
…2016年以降の出演作だけでも「SCOOP!」「聖の青春」「美しい星」「サニー/32」など、出演作20本以上!現状最も売れている俳優の一人。

妻・信代 役 安藤サクラさん
…演技派として確固たる位置にいる女優さん。『SR サイタマノラッパー2』が好きです。2016年以降は『追憶』『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』『DESTINY 鎌倉ものがたり』など。

初枝 役 樹木希林さん
…50年以上のキャリアが膨大すぎて、その凄さが認識しきれない。大林宜彦監督『転校生(82)』『さびしんぼう(85)』の時点でベテラン俳優ですよ!。作品の振り幅も『REX 恐竜物語(93)』から『人生フルーツ(17)』のナレーションまでと広過ぎ。現在公開中の『モリのいる場所(18)』も良いらしいですね。

亜紀 役 松岡茉優さん
…みんな大好き『ちはやふる』のクイーン。そして『勝手にふるえてろ』の良香です。ありがとうございます。

残り二人の子役は新人。是枝監督流の子役演出で凄い演技を見せてくれます。

この家族と対峙する人々もスターです。

万引き被害にあう駄菓子屋役は『シン・ゴジラ(16)』で「総理…苦しい決断ですが…」と何度も助言していた内閣官房長官役が印象的だった柄本明さん。今作でも、主人公に対して助言するシーンがあります。

世間の意見代表として家族を追及する二人の刑事役は、男性刑事は善意の象徴『横道世之介(13)』の世之介役や『シン・ゴジラ』で内閣官房副長官秘書官 志村役だった高良健吾さん。女性刑事は『ジョゼと虎と魚たち(03)』で足が不自由なジョゼ役という、当時としては世間の良識に問いかけるような作品で主演をつとめた池脇千鶴さんです。

上の全選手入場でも触れましたが、ソフト風俗の名もなき常連客という超脇役を『セトウツミ』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』 主演の池松壮亮さんが演じているという豪華さ。さらに、夫の肉体労働現場のガラ悪い同僚は『ケンとカズ(16)』のこっわーいカズ役で注目され『全員死刑(17)』の悪い悪い兄役も印象深かった毎熊克哉さん。「セレクトのさじ加減が絶妙な邦画アベンジャーズ/スパロボ感」。少しでも伝わりましたでしょうか?。興味を持った方はぜひ観てください。

万引き家族』のパンフレット

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48Pという大ボリューム。主要インタビューはもちろん、思想家 内田樹さん、外国映画に関する多数の著作を持つ中条省平さん、ドラマ『カルテット』の脚本家 坂本裕二さんのコラムも掲載。かなり読みごたえのあるパンフレットです。そしてなんといっても、家族の記念写真が貼り付けてあるデザインの表紙がグッズとしても素晴らしいです! 

 

是枝裕和監督 最新作『万引き家族』公式サイト

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【映画感想】『カメラを止めるな!』-POVホラー試行錯誤の先の喜劇

(2018年 日本 監督:上田慎一郎) 池袋シネマ・ロサで観賞。

作品の性質上、全くネタバレ無しの感想は不可能。気になる人はネットを閉じてすぐ観に行ってください。

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ゾンビ映画の突然変異の先

ナイト・オブ・ザ・リビングデッド(68)』、『ゾンビ(79)』以降、世界中でゾンビ映画がゾンビそのもののように名作駄作無限増殖。その増殖は今でも続いています。その途中で、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト(99)』発のPOV映画ショックの先に『REC/レック(07)』が、初の本格的なPOVゾンビ映画として衝撃の登場。そして、ホラーを中心としたPOV映画自体も一つのジャンルとしてレンタル店の棚を中心に無限増殖しました。ジャンル映画として類似作品が大量に現れると、その中で変化球や突然変異作品が作られます。日本でも白石晃司監督の『コワすぎ!』シリーズなど、斬新で面白いPOVホラーが撮られました。『カメラを止めるな!』は、その延長線上に生まれた突然変異作品です。

二重三重の構造

カメラを止めるな!』は、二重三重の構造を持っています。何故か『ONE CUT OF THE DEAD』というタイトルでのスタート。低予算丸出しのゾンビ映画を撮影中のクルー。ゾンビがヒロインを襲うシーンを撮影中ですが、ゾンビ役のメイクも安っぽく、クライマックスの重要なシーンらしいのに役者の演技も明らかにダメダメ。監督も変人らしく、このシーンだけで42テイクも撮り直しているというのです…

撮影は一旦休憩に入るものの、監督のテンションについていけず、既にダレている現場。ところが、そこに本物のゾンビが乱入します!。つまり、「ゾンビ映画を撮影中のクルーがゾンビに襲われるワンショット撮影のPOV映画」だったということが、序盤ですぐに判明します。

しかし、「長時間のワンショット撮影をしていることそのもの」にはなかなか関心するものの、肝心のゾンビ映画としての出来は最低レベル。アドリブの失敗や変な間などもあり、「見所が皆無とは言えないが、そんなに面白くない、へたくそなPOVワンショットゾンビ映画」が結構な時間続きます…

もちろん、これだけではブログにいちいち感想を書いたりしません。30分以上続くワンショットのゾンビ映画が終わった先にようやく現れる、『カメラを止めるな!』のタイトル!。この作品は、なんと世界初、「『ゾンビ映画を撮影中のクルーがゾンビに襲われるワンショット撮影の生放送POVゾンビ映画』という無理目な課題を、なんとか撮影しようと奮闘するクルーのドタバタを描いたコメディ映画」だったのです!。次々と明らかになっていく撮影開始までのいきさつ。生放送中の舞台裏では個々のシーンがどれほど放送事故寸前だったのか!。前半は全てネタ振り。後半は全てオチ。その完成度はすさまじく高く、一体どう計算して組み立てたらこんな映画を作り上げられるのか全く分かりません。

ここまで読んでしまった方も、「2018年を代表する邦画コメディ」としてのこの映画の面白さは全く損なわれません。映画館で是非観てください。

カメラを止めるな!』のパンフレット

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38ページフルカラー。「完全ネタバレ仕様」として、作品を観終わった後で楽しめる制作裏話とメイキングがメインの内容です。脚本決定稿も全て収録という充実した内容。裏表紙は嬉しい『ONE CUT OF THE DEAD』脚本仕様。参加した上映回では急遽舞台挨拶が行われ、さらにその後、参加された監督&出演者の皆さんによるサイン会があり、より素敵な裏表紙にしていただきました。

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フォトセッション中の皆さん

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kametome.net

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2016年映画感想tweetまとめ前編(上半期およそ50本)&上半期ベスト

前回 2015年映画感想tweetまとめ&ベスト15 - 映画とかのおはなしブログ

2016年上半期当時の映画感想ツイートまとめ前編(50本分くらい)

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元は「〇〇なう」形式なので整理。当時の感情こそが貴重なので、今の意見は足さず、当時のまま残す。観た作品全部の感想を書いているわけではない。()は観賞した映画館orメディア。

『孤高の遠吠』日本 監督:小林勇貴  (渋谷アップリンク)

富士宮が舞台の不良映画。メディアによくあるヤンキー少年漫画的なものとは全く異なる、リアリティを感じる理不尽で本当に悪い不良を描いている。ユーモアもたっぷりで楽しい映画なのに、マジで怖かった。

クリムゾン・ピークアメリカ 監督:ギレルモ・デル・トロ (TOHOシネマズ新宿)

幽霊屋敷モノかな?くらいのぼんやり認識で観たけど、ホラー感/古畑的サスペンス感/西洋ロマンス感 のバランスがヘンな、変わってる映画。

ボクソール★ライドショー恐怖の廃校脱出!4DX2D』日本 監督:白石晃士 (ユナイテッドシネマ豊洲)

4DX効果ありきで撮っている未体験なホラー映画アトラクション。開始1分でヤバい状況になるスピード感が良かった。監督作品ファンなら分かるサービスも濃縮。

傷物語〈I鉄血篇〉』 日本 総監督:新房昭之 、監督:尾石達也 (TOHOシネマズ新宿)

物語シリーズ独特の美術と空間が大スクリーンに広がって、世界に入り込んでいるかのように楽しめた。唯一、上映時間が1時間しかないことだけが残念。

『イット・フォローズ』 アメリカ 監督:デビッド・ロバート・ミッチェル (TOHOシネマズ新宿)

ホラー映画の歴史に残りそうな感じの名作。新しいタイプの呪い系幽霊の描写が怖くてかなり良かった。

ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』日本 監督:鹿島健城 (MOVIX亀有)

台湾って小さな島くらいの認識だったけどかなり広い。台湾が舞台でもいつもと同じことやっている。スクリーン大画面で観る台湾の普通の町並みと、三船美佳さんのいい女っぽさが良かった。

『劇場版 KING OF PRISM by PrettyRhythm』日本 監督:菱田正和 (新宿バルト9)

女児向けアイドルアニメに潜在的にあるヘンさと、ホビーアニメ感の残り香を残したまま焦点を乙女向け男性キャラに特化。ショー演出の勢いと敵グループの過剰さに大爆笑。1時間の上映時間を2時間くらいに感じた。24時15分の上映回を観た後、深く考えずにごく自然に徒歩で1時間半くらいかけて7キロ近く歩いて帰ったが全く苦痛でなかった。今思い返すとプリズムのきらめきで頭がおかしくなっていたような気がする。

『X-ミッション【字幕3D】』 アメリカ 監督:エリクソン・コア (新宿ピカデリー)

ナチュラルでニューエイジな超スポーツの神みたいな何かを信望してるコミュニティに潜入捜査官するお話、みたいな何か。死ぬ程凄いアクションと場面進行のテンポにあてられてサーフィンとムササビの間で意識が遠のく。お話はそんな覚えてない。

残穢―住んではいけない部屋―』日本 監督:中村義洋 (品川プリンスシネマ)

呪怨系ビックリではない貴重なJホラー。マンションの一室で箒を掃くような音がするという実話怪談投稿の謎を探るうちに、恐ろしい話が芋づる式に見つかっていく。基本的に、怪奇現象が直接起きるのではなく全て聴いた話という構成が面白い。

『貞子3D〜2Dバージョン』日本 2012年 監督:英勉 (Amazonビデオ)

ジャンルは心霊映画になっておらず、実質『牙狼』のようなホラー風味特撮。終始ド美人の石原さとみさんが拾った岩や斧、鉄骨等の物理で邪鬼と化した貞子を倒していく終盤の展開は漫画「彼岸島」ファンなら一見の価値ありだ!

『貞子3D 2~2Dバージョン』 2013年 日本 監督:英勉 (Amazonビデオ)

前作の数少ない見所要素は全て削減。貞子らしい貞子も出ない(!)。だが、確かに貞子3Dの2ではあるという、タイトルに偽りが無く見所も無い怪奇特撮ドラマ。もはや元のリングとなんも関係無いのが逆に凄い。

セーラー服と機関銃 -卒業-』日本 監督:前田弘二 (角川シネマ新宿)

リメイクではなくモチーフを使った新作。出演者のツラが皆さん素敵な美少女ヤクザ映画。橋本環奈さん主演の映画1作目としてはこれ以上は無いぐらいの良い娯楽作品。どんどん主演してほしい。

『プリパラ み~んなのあこがれ♪レッツゴー☆プリパリ 【応援上映】』 日本 監督:森脇真琴 (新宿バルト9)

テンション高すぎるふざけたストーリー進行と、ただ言いたいだけの怒涛の言葉遊びギャグ、そしてキラキラ大放出の可愛いライブで、脳みそゆるくなるドラッグ系作品。みんな「かしこまかしこま」言ってた。

『血まみれスケバンチェ-ンソー』 日本 監督:山口ヒロキ (シネマート新宿)

本編は、深夜にチャンネル回してたらやってたスプラッタ特撮ビデオ見ちゃったみたいな感じ。それよりも、上映後あると知らずに始まった舞台挨拶が、出てたか分からん人含む超脇役5人と監督だけ登場しての裏話というなかなか無いもので、面白かった。

『マジカル・ガール』 スペイン 監督:カルロス・ベルムト (ヒューマントラストシネマ有楽町)

スペインで日本の魔法少女アニメ好きな娘の願いを叶えようとする父という興味深い状況。そこから予想できない展開をする映画。どうなるか分からない緊張が静かに続く。ネタバレ無い方が絶対楽しめるので、気になる人はすぐ観に行った方がいい。

劇場版 探偵オペラ ミルキィホームズ〜逆襲のミルキィホームズ〜』日本 総監督:森脇真琴、監督:桜井弘明 (新宿バルト9)

1期の当たり回のような、「良いミルキィホームズ」の新作。期待を外れない異常なハイテンションが70分続くので地味に体力を使う。お得意の豊かなボケ表情が劇場ではハッキリと見られて楽しかった。

『ドロメ 女子篇』 日本   監督:内藤瑛亮 (シネマート新宿)

Jホラー的演出もあるが、どちらかというとホラー映画ジャンルの肩を借りた青春映画で、「泥まみれゴスロリ金属バット」といった趣き。主演の森川葵さん演じる内気な女の子が魅力的。

『アーロと少年【吹替2D】』 アメリカ 監督:ピーター・ソーン (お台場シネマメディアージュ)

背景美術CGがクオリティ高すぎてほぼ実写。その結果、まんがのようにかわいい恐竜くんが、リアル過ぎて美しかったり死と隣り合わせで怖かったりする大自然に放り込まれるという状況となり、独特のヤバさを生み出していた。

ちはやふる-上の句-』 日本 監督:小泉徳宏 (お台場シネマメディアージュ)

スポーツ青春娯楽映画の名作。広瀬すずの千早役が大声・元気・カルタ馬鹿かつ超可愛く、めちゃんこ素晴らしい。そこだけでも凄いのだが、部活モノとして王道の面白さ。チームの5人全員応援してしまうし、最後の試合は手に汗握った!

アイアムアヒーロー』 日本 監督:佐藤信介 (新宿ピカデリー)

原作既読。おそらく日本で初のまともに面白いゾンビ映画。仕事場からタクシー事故までの混乱の流れ良し。ホラ-映画好きの人で、今の邦画にまともなホラー映画が少ないことを嘆いている人は全員今すぐ他の事は後回しにして映画館に観に行ってください。

『のぞきめ』 日本 監督:三木康一郎 (池袋シネマ・ロサ)

近年シリーズものとビデオ以外では絶滅しかけている王道Jホラーの新作映画。お化けの見せ方がそのままでそんなに怖くないが、謎の村に最初に行くシーンなど、良さげな雰囲気になる瞬間は何度かあった。そこまでホラーが得意でない人にちょうどいい怖さか。

映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』 日本 監督:高橋渉 (池袋HUMAXシネマ)

アナ雪後の作品として女の子に向けられた中々の良作。実質主役のオリジナルキャラ サキちゃんとレギュラー陣の絡みが全面的に良い。一歩引いたような落ち着いた雰囲気ながら、原点回帰感ある駄洒落&下ネタも多くほっとした。

『太陽』 日本 監督:入江悠 (丸の内TOEI)

「邦画の名作を観るぞー」みたいなスタンスで観ると気になってしまう箇所が結構ある。しかし、ラノベ・ノベルゲーム的価値観で観ると、実写邦画でここまでの作品は無いディストピアもの。映画ファンの大人よりも、10代の若者が観た方が堪能できると思う。

『LOVE 3D』フランス・ベルギー合作 監督:ギャスパー・ノエ (シネマート新宿)

濃いドラマの3Dロマンポルノかなくらいの期待で観たら、キューブリックの弟子のようなリスペクト具合。クズ男の話が「アイズ ワイド シャット」以上に深刻かもしれないトリップ映画になる。傑作。

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ【字幕・MX4D】』アメリカ 監督:アンソニー・ルッソ / ジョー・ルッソ (TOHOシネマズららぽーと富士見)

ほぼファンへのサービスシーンばかりで出来ている娯楽大作なのに、現代の社会情勢/問題も描こうとする結構凄い映画。単純な娯楽映画の代名詞だったヒーロー映画が、シリーズを重ねるにつれ、リアルロボットアニメ的な作品の質に並んでしまった。

『華魂 幻影』 日本 監督:佐藤寿保 (新宿K’s Cinema)

前半だけを観ると、映画「劇場霊」よりもこの作品の方が劇場霊じゃない?と思えるような良質の心霊ホラーになりそう。なのに、その甘い予測をぶち壊しにかかってくる。呪いの混ざったような不条理映画。予告を見ない方がより嫌な気持ちになれるので情報なしで観た方がいい。

地獄の黙示録 劇場公開版〈デジタル・リマスター〉』アメリカ 監督:フランシス・フォード・コッポラ (シネマート新宿)

十数年前DVDで完全版を観ただけ。年末に偶然TVで途中を観て圧倒され、劇場で観たいと思っていた。普通のスクリーンなのに、ボートに乗って一緒に深みに潜っていくようなIMAX的没頭感があり、大変な映画体験だった。

『SHARING アナザーバージョン』日本 監督:篠崎誠 (テアトル新宿)

震災後に蔓延してる不安感を描いた劇映画。今の世の中をベースにしたドラマと不安の妄想と夢と劇中劇の練習と劇中劇とが混ざって、観ているうちに現実/映画/自分/他人の境界が曖昧になっていく。黒沢清と同じジャンルという貴重な映画。

『SHARING(通常版)』 日本 監督:篠崎誠 (テアトル新宿)

アナザーバージョンを先に観てからの観賞。同じ話だが、主役が一人増え約20分長く、編集演出やシーン細部が異なる。アナザーは感動ドラマ寄りだったが、こちらは黒沢清+白石晃司 的な社会派心霊ホラーでもあり怖い。両方観てこの映画が完成する。

『さざなみ』2015年 イギリス  監督:アンドリュー・ヘイ (シネスイッチ銀座)

45年間寄り添った夫婦の奥さんが、旦那のことを全く分かっていなかったのではないかと気づくという、静かだが強烈な話。二人のやりとりの機微が繊細。ドラマ自体を追うことよりも、観ながら色々瞑想にふけってしまうような映画だった

ちはやふる-下の句-』 日本 監督:小泉徳宏 (TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

上の句と同様に胸熱なさわやか部活モノとして楽しめた。続投の面々が愛おしいのはもちろん、新たなライバル クイーン役の松岡茉優さんの「かるたのことしか考えていないうちに凄みのある変な娘になっちゃってる」芝居が凄い。

『ひそひそ星』日本 監督:園子温 (新宿シネマカリテ)

宮沢賢治的な童話の新作かのような趣き。日本では類似作がほとんど存在していないであろう孤独と愛の未来宇宙ディストピアSF特撮震災文学映画。

園子温という生きもの』 日本 監督:大島新  (新宿シネマカリテ)

「ひそひそ星」制作時期の監督を追ったドキュメンタリー。ごく普通のドキュメンタリーなのだが、撮られている対象が面白すぎる人間なので、初めから終わりまで面白い。渋谷のハチ公増やしてた。

『ヴィクトリア』2015年 ドイツ 監督:セバスチャン・シッパー  (シアター・イメージフォーラム)

夢破れベルリンに来た女の子の夜遊びを完全ワンカットリアルタイム追体験。2時間20分カメラが完全同行し、夜遊びの共犯者となる体験ができる凄い映画。主演のLaia Costaかわいい。

『ガルム・ウォーズ【吹替】』日本 監督:押井守   (新宿バルト9)

単純に言うと外国人俳優のつまらん実写SF映画だが、そういうことではない。俳優も3DCGのように扱う「作画が完全に実写のアニメ」のような独自のやつ。赤いプラグスーツのメスゴリラが永遠の戦争に疑問を持つうちに火の七日間が始まるぞ。

 『ずっと前から好きでした。〜告白実行委員会〜』 日本 監督:柳沢テツヤ (新宿バルト9)

90年代少女まんが/アニメ的エッセンスをピュアピュア恋愛脳に昇華濃縮した、つよい1時間。終電後のバルト9という猛者しかいないはずの時間帯だったのに、キラキラオーラに敗れたのであろう単独おじさんが2名途中退席していた。

リップヴァンウィンクルの花嫁』日本 監督:岩井俊二 (キネカ大森)

苦しい現代日本社会で翻弄されるかわいそうな普通の女の子が、奇妙な何でも屋と出会いさらに翻弄される。闇金ウシジマくん的になりかける社会ドラマが、かすかな人間賛歌はらむ百合大作になっていく。今までの岩井俊二作品をも何周か超越してる。今回、キネカ大森に行く際、田町・品川方面から自転車サイクリングで大森に行ったのだが、そのエリアが映画の舞台になっていて臨場感があり、とても良かった。この作品のパンフレット。宮台真司先生の解説が、なんと15ページも掲載。パンフレットの文章ページの3分の1を占めるが、ここ数年の著作やラジオ等で話していることの総決算的な本気のやつで、超凄い。

『明日の世界 ドン・ハーツフェルト作品集』 アメリカ 監督:ドン・ハーツフェルト(シアター・イメージフォーラム)

『きっと全て大丈夫』三部作デジタルリマスター(2012年)

認知症的な病気になったらしい男の行く末を描いたアニメ。悲しくキツ過ぎる状況を、新聞4コマ漫画くらいの離れた距離感でこれでもかと描く。60分の上映時間が数日にも感じてしまうかのような、ほぼサイコホラーな幻覚交じりの人生+少しの輝きの体験。ヤバイ。

『明日の世界』(2016年)

怖い怖いタイムスリップ&ディストピア終末ものSF短編アニメ。小さい女の子が、未来にいる自分のクローンから呼ばれて未来世界を案内される。科学が極まり、命/時間/記憶が永遠になった未来の素晴らしい地球は、想像を絶する地獄絵図だった!+少しの希望。強烈!

ディストラクション・ベイビーズ』 日本 監督:真利子哲也 (テアトル新宿)

無言で人をとにかく殴り続ける男の純粋暴力に、普通の男と女が巻き込まれる。観ると無意識に何かしら影響を受けてしまいそう。舞台が四国 松山の中心アーケード街 大街道。昔1年間毎月通っていたので見覚えある場所だらけで楽しかった。

Dressing Up』2015年 日本 監督:安川有果 (テアトル新宿)

母を亡くし父と二人暮らしの女の子がいじめを解決するお話になるかと思いきや、恐ろしい展開に。大阪のミナミに数年住んでた身としては、天王寺と難波が「大阪」としてではなく「(日常的に行く)都会」として清潔に不穏に映されているのが新しく魅力的に映った。

デッドプール【字幕2D】』アメリカ 監督:ティム・ミラー (TOHOシネマズ日本橋)

デッドプールのキャラの魅力を全編披露しながらも、ヒーロー映画1作目らしい王道の展開。前半の高速道路バトルが不死身の傭兵らしいアクションで良かった。このままX-MENシネマティックユニバースのシリーズに出続けるのだろうか。

『雨女 4DX』 日本 監督:清水崇 (ユナイテッドシネマ豊洲)

40分間の今時貴重な超王道Jホラー。4DXパワーを「水」に全振り。完全に劇場の中に雨が降っている感じ。程よく怖くグロ度は低め。カップルがかなり盛り上がっており、デートにおすすめ!

少女椿』 日本 監督:TORICO (シネマート新宿)

兎にも角にも、中村里砂さん演じるみどりちゃんが5億点。丸尾末広の薄幸な美少女を実写化するという回答のベストオブベスト。エログロも無いことになっておらず頑張ってる。奇妙な怪奇映画に仕上がっている。

『ヒメアノ~ル』 日本 監督:吉田恵輔   (TOHOシネマズ六本木ヒルズ)

滑稽で面白い非モテブコメが衝撃の急転をする映画。急転前も後も、主演陣の芝居・間が素晴らしい。一番楽しめるのは予備知識ゼロの人なので、そういう幸運な人はすぐ観に行くべき。今年は漫画原作の邦画に名作が多いが、これも加わった!

『ノック・ノック』  アメリカ  監督:イーライ・ロス (シネマート新宿)

びしょ濡れエロ美女二人を雨宿りさせたら取り返しのつかないことに。ある意味、妖怪濡れ女。休暇シーズン中ご町内自分一人で留守番する怖さが描かれているようで、アメリカ人からすると日本人が観るよりも、もっと怖い映画である可能性がある。

10 クローバーフィールド・レーン(IMAX)』 アメリカ 監督:ダン・トラクテンバーグ (TOHOシネマズ新宿)

見えないものが見えるまで、真実が、そして映画ジャンルが分からないという面白い作りの映画。の筈が、タイトルと宣伝から予想できる以上にならない、かなり残念な作品。少し考察の余地が残ってはいるが、些細なことっぽい…

『貞子vs伽椰子【MX4D】』 日本 監督:白石晃士 (TOHOシネマズ新宿)

両作のオリジナル文脈を大切にしつつ、白石作品的文脈を持つ新キャラが繋げるエンタメVS映画の名作。笑わせもするがちゃんとホラー映画で、本気で怖がっているライト層観客もいて良かった。楽しすぎで、もはや感情が感謝に。

クリーピー 偽りの隣人』 日本 監督:黒沢清 (丸の内ピカデリー)

香川照之さんのサイコパス芝居が5億点。捜査サスペンスが徐々に不穏になる中盤までは相当面白い。しかし、警察が無能過ぎるのと、主要人物全員が怪しい奴に対して不用意で無防備過ぎるので、かなり残念な展開に…。宣伝もサブタイもネタバレしてるぞ。

ズートピア【字幕2D】』アメリカ 監督:バイロン・ハワード、リッチ・ムーア (TOHOシネマズ新宿)

道徳の時間に観るようなテレビまんがを500万倍くらい凄くした作品。人種/男女差別テーマで貫かれた新人警官鳥獣戯画。「実写を越えたCGの超絶さ」と「ジュディの兎らしい俊敏さのようなカートゥーン的コミカル動作」の両立も素晴らしい。しかし、ここ最近観た、『ディストラクション・ベイビーズ』『ヒメアノ~ル』『ノック・ノック』『クリーピー 偽りの隣人』に続き、「警察もうちょっとなんとかしろ映画」に『ズートピア』も加わりました。ズートピア警察署(ZPD)の奴ら、監視カメラのチェックすらせず、ほぼ捜査してない上に勤務中に萌えゲーしています。

『日本で一番悪い奴ら』 日本 監督:白石和彌 (丸の内TOEI)

実際に北海道警で起きた不祥事を描いた犯罪映画。ノルマ目指して頑張るうちに目的と手段が入れ替わり、自然に重犯罪に進む刑事。それをエンタメヤクザ映画のように楽しく描くと共に、日本の役所/会社組織に戦前からずっと存在する腐った部分が描かれる。名作。

2016年上半期 映画館で観た新作ベスト19


19:ヒメアノ〜ル
18:ちはやふる-上の句
17:マジカル・ガール
16:ズートピア
15:セーラー服と機関銃〜卒業〜
14:SHARING
この下全部1位級
13:日本で一番悪い奴ら
12:ひそひそ星
11:アイアムアヒーロー
10:シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
9:残穢
8:劇場版KING OF PRISM
7:孤高の遠吠
6:LOVE【3D】
5:明日の世界ドン・ハーツフェルト作品集
4:FAKE
3:リップヴァンウィンクルの花嫁
2:貞子VS伽倻子
1:イット・フォローズ 

 

下半期

tenguotoko.hatenablog.com

 

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